第1046回
「草食日本男子」と「肉食中国男子」

先日、NHKのニュースを見ていたら、
NPO(民間非営利団体)を中心に就職活動をしている大学生が
インタビューを受けていました。
彼曰く「私たちの世代は、社会貢献を
職業にしたいと思っている人が多いです」とのこと。

私個人的には、
どんな職業でも反社会的な仕事でなければ
全て社会に貢献していると思いますし、
大きな利益を上げている企業というのは、
それだけ多くの人が喜んでおカネを払って
モノやサービスを享受している、ということですから、
社会への貢献度合いも高いと考えています。

しかし、最近の若い人は、
利益よりも社会貢献を第一義としたNPOなどで、
一般企業などよりもっと直接的な社会貢献の仕事をして、
人生の充実感を得ようとしているんですね。

それはそれで大変立派な志ですし、
仕事に対する満足度も高いのではないかと思いますが、
私などから見るともっとギラギラした上昇志向というか、
まだ駆け出しだった頃の「永ちゃん」のように
「10メートル先のタバコ屋にも
キャデラックで行けるぐらいになりたい」
程度のことは言ってほしいと思います。

日本では恋愛に積極的ではない男性を意味する
「草食男子」という言葉が流行っているようですが、
日本の若い人たちは仕事に対する姿勢も
「草食」になりつつあるようです。

一方の中国の若者の仕事に対する姿勢は完全な「肉食」です。

低級人材は少しでも給料の高い仕事があれば
すぐに転職してしまう「給料パラノイア(偏執病)」ですし、
高級人材は将来の自身のキャリアアップに
役立つかどうかで就職先を決める「成長パラノイア」です。

最近は景気の減速による就職難で、
何しろクビにならないことを最重視する
「安定パラノイア」の人も増えてきてはいますが、
どちらにしても人生の成功を測るものさしは「カネ」であり、
中国には「NPOでの社会貢献に一生を捧げる」
なんていう若者はあまりいないように思います。

「草食日本男子」と「肉食中国男子」。
どちらが進化、成熟した形かと言えば、
もちろん「草食日本男子」です。
しかし、どちらがよりドラマチックで
充実した人生を送れるかと言えば、
もしかすると、高度経済成長期の日本人のように、
将来の「成りあがり」を夢見て日夜カネ儲けに邁進する
「肉食中国男子」の方なのかもしれません。


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2009年6月24日(水)

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