第1147回
「Japan bashing」から「Japan nothing」へ

今年2010年、
日本は40年近く保ってきた世界第2位の経済大国の座を、
中国に譲ることが確実視されています。
2007年3月にアメリカの大手証券会社、
ゴールドマンサックスが発表した
「The N-11 : More than an Acronym」というレポートでは、
2010年に中国が日本を追い抜くと予想されていますが、
その予想がピタリと当たったことになります。

このレポートの「予言」によれば、日本はその後、
2030年にはインドに、2036年にはブラジルに、
2037年にはロシアに、2040年にはメキシコに、
2048年にはインドネシアに抜かれ、
2050年の時点では国内総生産(GDP)で世界第8位と、
世界経済の中ではそれほど目立たない存在に
なってしまうことが予想されています。

一方の中国は、2027年にアメリカを追い抜いて
世界最大の経済大国になった後も経済成長を続け、
2050年の時点ではアメリカの2倍近く、
日本の10倍以上のGDPを誇る、
ダントツ世界一の経済大国に
なっていることが予想されています。

こうした状況を見越しているかのように、
中国の人たちの目は既に
次のターゲットであるアメリカに向き、
日本は彼らの視界から消えつつあるようです。

中国共産党機関紙・人民日報系の新聞・環球時報が、
昨年末、北京、上海など5都市の
1350人を対象に行った世論調査によれば、
「中国に最も影響力がある2国間関係は?(複数回答)」
という質問に、
「中米関係」と答えた人が81.3%に達したのに対し、
「中日関係」と答えた人は21.4%にとどまりました。

また、「最も重要な周辺国関係は?」という質問でも、
「中ロ関係」と答えた人が48.5%と、
「中日関係」の42.1%を上回り、
4年前の調査開始以来始めて
「中日関係」が2位に転落しました。

この結果に対し環球時報は
「日本の右傾化政権の終焉で、問題多発期が終わったため」
と解説してくれていますが、
中国の人たちの視界から、
日本が徐々に消えつつあるのもまた事実だと思います。

こうした調査結果は、
北京に住んでいると皮膚感覚でわかります。
日本人のプレゼンスが大きい上海や大連と違って、
北京では日本人はたくさんいる外国人のうちの
「one of them」に過ぎません。
良いことにしても悪いことにしても、
日本人が中国のことを意識しているほど、
中国人は日本のことを意識していないのです。

反日の「Japan bashing」から、
日本を跳び越してアメリカを意識する「Japan passing」、
そして日本が視界から消える「Japan nothing」へ。

「反日運動でまじめに相手をしてもらっていた頃が懐かしい」
などということにならないようにするためには、
私たち日本人は日本の国力を上げるためにたゆまぬ努力を続け、
中国の人たちが意識せざるを得ない国で
あり続けなければいけないな、と思いました。


←前回記事へ

2010年2月15日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ