第1192回
未来の国際金融センター「濱海新区」

「濱海新区(ぴんはいしんちゅぃー)」

今はこの名前をご存知の方は少ないかもしれません。
しかし、今後10年以内に「濱海新区」は、
香港の「中環(セントラル)」、
上海の「陸家嘴(るーじゃーずい)」
に並ぶ、
世界でその名を知らない人はいない
中国の北の「国際金融センター」となる見込みです。

「濱海新区」は天津の街から海側に約40km。
天津新港に近い塘沽(たんぐー)と呼ばれる地区にあります。

私は早速、この将来の国際金融センター、
「濱海新区」の現状を見に行くことにしました。

天津の街から「濱海新区」までは
「津濱軽軌(じんぴんちんぐい)」と呼ばれる電車が走っており、
45kmを約40分でつないでいます。

この「津濱軽軌」に乗って、
終着駅の東海路駅まで行ってみました。
しかし、途中、ホリデーインホテルや
巨大な展示場は見かけたものの、
国際金融センターらしきものは見当たりません。

そこで、私はこの辺で最も栄えている塘沽の駅まで戻り、
海河の河口を船で一周する観光船に乗り込み、
河から「濱海新区」を見ることにしました。

そこで私が見たものは、下の写真、
まだ全くの更地である、
建設中の未来の国際金融センターでした。

私がなぜここが
未来の国際金融センターであることがわかったかと言うと、
写真の右下のところに見える
「中国于家堡、世界金融区
(ちょんぐおゆぃーじゃーばお、
しーじえじんろんちゅぃー)」
という
看板が掲げられていたからです。

拡大してみると・・・

この看板がなかったら、この工事現場が将来、
ロンドンの「シティ」や
ニューヨークの「ウォールストリート」のような
国際金融センターになることなど、
誰も予想だにできないでしょう。

そんなまだまだ影も形もない
国際金融センター「濱海新区」ですが、既に将来、
中国の「シティ」や「ウォールストリート」となって、
世界中の人とカネがここに集まってくることを見越して
活発に動いているのが不動産開発業者です。

「津濱軽軌」の車窓からも、海河河口の観光船からも、
国際金融センターはほとんど更地であるにも関わらず、
既にその周辺にはたくさんのマンションが
建設されているのを見ることができました。
塘沽に戻ったときにもらった
「濱海新区」の新築マンションのチラシには、
「北中国的迪拝(べいちょんぐおだでぃーばい、
北中国のドバイ)」
の文字が躍っていました。
もっとも、昨年の金融危機の影響で、
本家・ドバイは青息吐息になってしまいましたが...。

そういった意味では、中国のマンション建設戸数は、
株式よりも何よりもずっと前に未来を先取りする、
超先行指標と言えるのかもしれません。


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2010年5月31日(月)

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