第1267回
規制に負けない中国の不動産投資家

中国政府は現在、
不動産価格抑制政策を行っていますが、
全国一律というわけではなく、
不動産価格の高騰が激しいところで
重点的に行っているようです。

このため、中国の不動産投資家の投資対象は
規制が厳しく値上がりが期待できない場所から、
規制が緩くまだまだ値上がりの余地がある場所に
移りつつあります。

北京市では不動産価格の高騰が激しかったため、
厳しい規制が行われているのですが、
北京市に隣接する河北省の燕郊や廊坊市では
河北省の緩い規制が適用されますので、
北京の投資家の資金はそうした隣接地域に
移りつつあるようです。

北京の投資家の中には、
遠く山東省の烟台市や威海市にまで行って、
不動産に投資する人も多いようです。

また、広東省深セン市も不動産の値上がりが激しく、
厳しい規制が行われていますが、
深センの投資家は、規制が緩い
隣の恵州市で投資を始めているようです。

更に深セン市に隣接する香港の不動産に投資する
深センの投資家も増えているようです。
香港は規制が緩い上に、
人民元の対香港ドル相場の上昇によって
香港の物件が相対的に割安になっていることや、
香港では住宅ローンの金利が年1-2%と低いことなども、
深センの投資家を香港不動産投資に向かわせる
要因になっているようです。

政府の不動産価格抑制政策で
おとなしくなったと思っていた中国の不動産投資家ですが、
転戦しながらキャピタルゲインを追求する
彼らのバイタリティーには感服します。

今後、中国の不動産業界では、
不動産投資家たちが
規制の緩いところに投資を集中させ、
不動産バブル状態になると
中国政府はその場所の規制を厳しくし、
不動産投資家はまた別の
規制が緩いところを見つけて投資する、
というイタチごっこが
繰り広げられることが予想されます。

しかし、そのイタチごっこで
今まで不動産投資家に見向きもされなかった
田舎に投資資金が流れ込み、
それでその田舎の経済が活性化するならば、
それはそれで良いことなのではないか、
と私は思います。


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2010年11月22日(月)

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