第1307回
中国版ツイッター、またお手柄

中国版ツイッター、
「微博(うぇいぼー、マイクロブログ)」。

先日、この「微博」のおかげで
誘拐されて物乞いを強要されていた
子供5人が救出されました。

子供を誘拐された親が、
「微博」のサイトに掲載されていた
物乞いをさせられている子供たちの写真の中に
我が子を見つけ警察に通報、
警察の捜査により救出に至ったのだそうです。

このサイトを作ったのは政府系シンクタンク・
中国社会科学院農村発展研究所の于教授。
今年1月に福建省の女性から
「ネットに流れている写真に、
誘拐されたうちの子供が写っていた」
という相談を受けたことをヒントにサイトを開設、
これまでに1,700枚以上の写真が掲載され、
サイト開設2週間にして
5人の子供の救出を果たしたということです。

日本では子供が誘拐されると
テレビのニュースで大々的に報道されますが、
中国ではいちいちニュースで報道していられないぐらい
頻繁に発生しているようです。
誘拐の目的も日本では身代金目当てが多いのに対し、
中国では児童売買がほとんどで、
売られた子供は犯罪組織に
物乞いや売春、強制労働などをさせられるのだそうです。
このため、中国では日本のように子供が一人で歩いて
学校に行くのはあまりにも危ないので、
家族が送り迎えをすることが多いのです。

「第1282回 犯人逮捕なう」でご紹介したように、
昨年、福建省廈門(アモイ)市の公安局が
女児傷害致死事件の捜査に「微博」を利用し、
「微博」利用者からの情報提供のおかげもあって
2週間後に犯人逮捕にこぎつけましたが、
「微博」、今回もまたお手柄です。
「微博」のおかげで誘拐された子供を救出するケースは、
今後、更に増えていくことが予想されます。

中国政府にとって「微博」は両刃の剣です。

国民からの情報提供を
犯罪捜査に活かせるのは大変良いことなのですが、
今まで横のつながりがなかった国民が
インターネット上で自由に情報交換ができるようになると、
チュニジアやエジプトのように、
一部の地域で始まった反政府運動が
瞬く間に全国に広がってしまう可能性があります。

中国政府は「微博」という両刃の剣を
使いこなすことができるのか。
もしくは、危ないので折ってしまうのか。
今後の「微博」の扱い方で、
中国政府の度量の大きさがわかるのではないか、
と私は思います。





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2011年2月21日(月)

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