第1341回
保守の太子党とリベラルの共青団

中華人民共和国は
中国共産党による一党独裁国家ですが、
今のこの国を見て共産主義国家だと言う人は
誰もいないのではないでしょうか。

もちろん建国当時の中華人民共和国は共産主義国家でした。
しかし人間、働いても働かなくても給料が同じだと、
誰もまじめに働かず、
いつまで経っても貧乏なままであることが明らかになり、
他の共産主義国家の共産党が
次々と権力の座から引き摺り下ろされていく中で、
中国共産党は改革開放政策を打ち出し、
共産主義政党から資本主義政党に自ら「変節」することで、
今日までその命脈を保ってきました。

その「変節」から30余年。
経済改革は大成功を収めたものの、
政治改革は一向に進んでおらず、
独裁者の鶴の一声でみんなが金太郎飴のように
同じことを言いながら国家を暴走させてしまう
旧態依然とした独裁政党、
というイメージを抱かせてしまう中国共産党ですが、
実際にはゆっくりと独自の成熟を続け、
今や世界の政治の二大潮流である
保守とリベラルを党内に包含した、
先進諸国にも負けない先進的な政治組織に
変貌を遂げているように私には見えます。

経済的な自由は尊重するものの、
個人的な自由は軽視する保守。
一方で個人的な自由は尊重するものの、
経済的な自由は軽視するリベラル。
この定義からいくと、経済成長を重視し、
中華人民共和国建国の伝統を継承する太子党派は保守、
経済成長よりも再分配を重視し、
国民の意見を取り入れて改革を図っていこうとする
共青団派はリベラルということになります。

今後、世界第1位の経済大国・アメリカでは、
2012年の大統領選挙で
リベラルの民主党から保守の共和党へ、
世界第3位の経済大国・日本では、
2013年までに行われる衆議院議員総選挙で
リベラルの民主党から保守の自民党への
政権交代が行われる可能性がありますが、
世界第2位の経済大国・中国でも、
2012年の中国共産党大会で
リベラルの共青団派から保守の太子党派への
政権交代が予定されています。

世界のGDP(国内総生産)の40%以上を占める
経済大国トップスリーであるアメリカ、中国、日本。
この3つの国の政権が、
全てリベラルから保守に変われば、
2012-2013年以降、世界は未曾有の好景気を
迎えるのではないかと私は考えています。





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2011年5月11日(水)

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