第1397回
キャズムを越えた中国のネット通販

急速に伸び続ける中国のネット通販市場。

中国のIT調査会社・易観国際によれば、
2011年4−6月期の中国のネット通販市場規模は、
前年同期比2.7倍の542億6,000万元(6,511億円)に
拡大したのだそうです。

前年同期比の伸び率がパーセントではなくて
倍で表示されるということは、
既存のネット通販利用者の買う量が増えただけではなく、
今まで実店舗で買っていた人が
ネット通販の世界になだれ込み、
ネット通販利用者の裾野が
急速に広がっていることを感じさせます。
中国におけるネット通販は、キャズム(深い溝)を越え、
その利用者はアーリーアダプターズ(初期採用者)から
アーリーマジョリティ(前期追随者)に移りつつあるのです。

中国のネット通販が
キャズムを越えられた理由は、
ズバリ、実店舗よりより良いモノを
より安く買えるからです。

ネット通販はある意味、ビジネスの全国大会です。
実店舗しかなかった時代は、
半径1kmとか2kmの商圏の中で
ライバル店に勝てば何とかやっていけましたが、
ネット通販は同じ商品を扱っている
中国全土の無数のお店との競争ですので、
どのお店もより良いモノをより安く提供して、
少しでも多くのお客さんに買ってもらおうと
しのぎを削っています。

また、物価水準に比べて
不動産の価格が異常に高い中国においては、
実店舗は高額の家賃を
販売価格に上乗せしなければなりません。
その点、ネット通販ならば家賃を払う必要がありませんので、
同じ商品でも家賃を上乗せしなくてよい分、
価格を安くすることができます。

もちろん実店舗にも、
実際の商品を触ったり、試したりしてから買える、とか、
お店の人の顔を見て直接話しながら買える、などなど、
ネット通販にはない魅力はあります。

しかし、より良いモノがより安く買える、という
お買い物の本質的な部分での魅力が、
そうした実店舗の魅力を大きく上回っているため、
中国のネット通販はキャズムを越えて、
広く普及し始めているのではないか、と思います。


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2011年9月19日(月)

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