第1448回
試される民主主義

先月、私は北京で開催された
北京邱友会に参加させて頂きました。
そこで邱先生のお話を聞いていて、
大きくうなづいてしまったのは
「今のヨーロッパの債務危機で、
民主主義が試されている」という部分でした。

今、ヨーロッパで債務危機に陥っている国々は、
歴代の政府が選挙に勝つために
国民に対して身の丈以上の大盤振る舞いをし続けた結果、
国が破綻する寸前までいってしまっている。
そんな政府を選んだのは、
自分のポケットにおカネを入れてくれる人に投票する、
という投票行動を取った国民である。
故に、たとえ自分のポケットからおカネが出て行くとしても、
国民全員が国の未来を考えて
投票行動を取れるぐらいに成熟していないと、
民主主義国家はやがて滅びゆく運命にあるのではないか、
ということです。

国民全員が主権を持って国の行く末を決めていく、
という政治システム・民主主義。

私は学校で「民主主義は絶対的に正しい政治システムだ」
と教わりましたし、客観的に考えても
国の構成員である国民全員が自ら国を自治していく、
というやり方は理想的であるように思えます。
逆に「独裁」という言葉はナチス・ドイツの
ヒトラーを思い起こさせることもあり、
国民の意思を無視した、非常に良くない
政治システムであると思っていました。

しかし、実際に独裁国家・中国に来てみると、
意外にも人々は楽しそうに暮らしており、
「人は参政権を与えられなくても幸せな人生を送れる」
ということがわかりました。
もちろん、独裁体制の副作用である腐敗は深刻ですが、
中国共産党というエリート集団が
独裁的に国を引っぱってきた結果、
高度経済成長で多くの国民が豊かになり、
国の債務はGDP(国内総生産)の20%前後と
日本の1/10に収まっているのはまぎれもない事実です。

これが、1989年の天安門事件で中国が民主化し、
国民全員が分配ばかりを求めるような国になっていたら、
こんにちの国民の豊かさと健全な財政状態が
実現していたかどうかは疑問です。

バーナード・ショー曰く
「民主主義とは、腐敗した少数の権力者を任命する代わりに、
無能な多数者が選挙によって無能な人を選出することである」。

民主主義が試されている今、
民主主義国家の国民である私たち日本人は、
バーナード・ショーに「無能」と言われないように、
1人1人の国民が自分のポケットのおカネの出入りではなく、
国の行く末を考え抜いた上での投票行動を取ることを
求められているのではないかと私は思います。





←前回記事へ

2012年1月13日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ