第1450回
中国政府にとっての40周年

日中国交正常化40周年は、
中国政府にとっては大きなチャンスです。
なぜなら、中国政府は2005年の反日デモのような事件は、
二度と起こしたくないと考えているからです。

2005年、中国では
当時の日本の小泉首相の靖国神社参拝をきっかけとして、
大規模な反日デモが発生しました。
私も家の近所で日本車がひっくり返されて燃やされたり、
近くまでデモ隊が迫ってきたりしたのを見て
大変怖い思いをしました。

この反日デモでは
中国に住む日本人も怖い思いをしましたが、
中国政府も怖い思いをしました。
なぜなら、デモ隊を鎮圧したり、
日本に対する外交姿勢に強硬さが足りなかったりすると、
反日デモがすぐにでも反政府デモに
変わりそうだったからです。

日本には当時、警官隊が
日本大使館に投石するデモ隊を制止しなかったことから、
「この反日デモは官製だ」という
トンチンカンな分析をした中国専門家がいました。
しかし、反政府勢力が中国共産党打倒のために仕組んだ、
というのならまだしも、頭の良い中国政府が
自らの首を絞めるようなことをするわけがありません。
警官隊はデモ隊に手を「出せなかった」というのが
本当のところだったのではないでしょうか。

更に、今の中国政府は、国内の問題が山積で、
とても外交にかかずらっているヒマはありません。
それは昨年末、北朝鮮の金正日総書記が亡くなった際に、
中国政府が
「次は正恩でいいから、何しろ混乱しないでくれ」
という姿勢を貫き通していたことからもわかります。
それは日本との関係でも同じで、
尖閣諸島やガス田などの諸問題を
全て棚上げにしてでも日本と仲良くして、
内政に全精力を集中したいのです。

40周年で中国国内における
中日友好の気運を盛り上げ、
反政府運動の発端ともなりかねない
反日デモの再発を防ぐのと同時に、
日本との間の諸問題を先送りにして
国内情勢の安定維持に全精力を集中する。

日本政府におかれては、
40周年記念事業のお祭り騒ぎに浮かれることなく、
こうした中国政府における40周年の位置付けを熟知した上で、
したたかな対応をして頂きたいと思います。





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2012年1月18日(水)

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