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76. 米をつくらず寿司を握って10倍儲かる

今回のサブタイトルは「付加価値とは何か?」です。
ここのところ書いてきた内容は、一言で表せば「仕事の質」
ということになりますが、
今回と次回でその仕事の質という意味では、最終回です。

この数回で書いたことは
・ 中国市場で働く日本人に出番が来た
・ 100円を200円に増やせるか
・ 自ら手を汚す勇気を持て
・ 一生懸命にやるな、成果を出せ
ということでしたが、全ては一言で言うと
仕事の付加価値を上げろということです。

実は私、この付加価値という言葉、社会人をスタートした
少しあとまであまりピンと来ていませんでした。
付加価値とは何か?師匠の言葉を借りて説明したいと思います。

邱先生はよく「米をつくるな、寿司を握れ」といいます。

これが付加価値を表した
もっともシンプルな表現のような気がします。

米を作ってそれを炊いて単純に売ったところで
たいしたカネにはなりません。

例えば、5KG=2480円の米なら、ご飯一杯分は
およそ40円の計算になります。
寿司一貫分あれば、たぶんご飯一杯の
5分の1程度でしょうから、
8円が原価ということになります。
これを商売にして売ったとしても、せいぜい3倍の24円。
儲けは、16円です。

一方、マグロの握りを売った場合、先ほどの計算の
8円にお酢を足して、10円程度。
マグロの値段を(適当に)KG当たり1000円として、
一貫50gとすると、50円となり、あわせて60円の原価。
ところが、これを売った場合は、最低でも300円は取れる。
原価の5倍で儲けは240円。マグロの原価を直接引くと180円。

かなり荒っぽい計算ですが、同じお米で同じ量でも、
一方は16円の儲けでもう一方は180円。
ざっと10倍の儲けです。
これが、付加価値の差です。

そして、付加価値とは何も物を売るときにだけ
存在しているのはないのです。
普段の仕事、またサービス業、どんな分野にも
この考え方が当てはまります。

例えば昔、石田光成が豊臣秀吉にお茶を出したとき、
喉が渇いた客人に対して、一杯目はぬるいお茶を、
そして二杯目は少し熱いお茶を・・・、
という話は有名ですが、同じお茶を出すのでも、
頭を使って考えることで、相手の満足度がまったく違うわけです。

これが、仕事の付加価値です。

私が仕事のプロフェッショナルとしていつも意識しているのは、
1) どんな仕事にも付加価値を求めること
2) 自分にとって次の仕事が常に最高のものだと信じること
3) 常に神様に見られていると感じること

特に3つ目は表現的に宗教じみているかもしれませんが、
神様に見られていると思うことで、そして、
自分の仕事の成果に対して
「これを神様に見せて恥ずかしくないか?」と問うことで、
自分の仕事に対する要求水準を上げていくのです。

そして、最後に。

「自分の仕事を尊敬する」ことです。

これについては次回のコラムで。


2008年9月1日(月) <<前へ  次へ>>