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113. Retail is Detail(リーテールはディテール)

タイトルのこの言葉は、
スターバックスのハワード・シュルツ会長の言葉です。

あまりにいい言葉で、そして耳に残りやすい言葉で、
とても共感しています。

小売業にせよ、サービス業にせよ、
この業態はディテールの積み重ねが
お客様に提供できる付加価値を作り出します。

もちろん、時には、
革新的なアイディアが大きな価値を作り出すこともあるんですが、
そんな革新的なアイディアなんてそんなに出やしないのです。

そうなると結局どれだけ積み重なったか、
どれだけ顧客の見えないところで汗をかいたかが、
くさい表現ですがその店の価値の厚みを決めるのです。

私はその昔、ヒルトンというホテルで
少しの期間働いていたことがあります。
ベルマンの仕事でした。

当時私はヒルトンマンから多くのことを学びました。
ディテールの極みともいう、ミクロな仕事の積み重ねでした。

フロントにある大理石の灰皿の位置は、
奥の壁からタイル13枚目半の位置と決まっていました。
それは、よくよく見ると、従業員の作業動線を邪魔しない、
そして、朝のラッシュの時間に
ゲストがチェックアウトに並んでも
ちょうど邪魔にならない位置でした。

フロントのペン指しにさしてある
ヒルトン特製のゴールドの美しいボールペンは
右に45度の形で常に統一されていました。
その角度は、ゲストがサインするときに
一番自然に手に収まる角度でした。

ホテルのエレベーターのドアが何秒で閉まるかも
全部わかっていました。
それは、ゲストをエレベーターの外でお見送りするときに、
頭を下げるタイミングに深くかかわっていました。
つまり、ドアがしまるちょっと直前に
「それでは楽しい時間をお過ごしください。」
と頭を下げた瞬間にドアがさりげなく閉まるのが
美しい別れであるわけです。
そのタイミングを間違えて、早く頭を下げすぎると、
ゲストも気まずいし、
頭を下げている自分もきまずい時間が生まれるわけです。

そんなわけで、ディテールが生み出す美しいサービスを
私はヒルトンで教えてもらい、
そして自分でそれを常に考えていました。

Retail is Detail を私になりに言い換えると、

Detail is beautiful 「ディテールは美しい」


2009年5月25日(月)

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