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177. 本気で上場したいの?

社長になるのが簡単なのと同様に、
恐らく企業を株式市場に上場させるのも
それほど難しくないんだと思っています。

今週も誤解を恐れずに書きます。

先日古い友人に会いました。
まあ、日本ではずいぶん著名人になった人です。

彼に私の近況を話すと、

「いや〜、ほんとにキムさんはすごいね。
日本を捨てて中国にきて、勇気があるし、行動力もあるし。
店だって10軒もつくったら上場を狙えるんじゃない。」

前半のおだてはさておき僕はほとんど隙間なく、
そして無意識にこう答えていました。

「ねえ上場と人の幸福にはなんの関係もないよ。
ただがむしゃらな上昇志向と成長志向だけを目指すんなら、
僕は日本にいればよかったんだよ。」

上場と人の幸福なんていう
哲学的な問題に触れたいわけではありませんが、
それは僕の本音として口から出た言葉です。

昔、島田伸介さんが

「いや、大阪にすごい企業家がいんねん。
売上規模もすごいし、とにかく利益がすごいのよ、その会社。
でさ、その社長に“なんで上場せえへんの?”と聞いたら、
“上場する意味がわからない”と一言で返された。」
と。

本来的な意味で上場とは、
世の中にその企業が提供する物やサービスに対する需要が、
今の事業規模以上に高まって
資金需要が高まったときにするものだと思っています。

松下幸之助さんは、上場をすなわち、企業が公器になる、
といっておられますが、そういうことなんだと思います。

中国で今、投機的な上場が流行っているようです。

でも原則的な、本質的意味から離れた行為を
人生で数多くやればやるほど、何かが狂っていくような気がします。

漠然とした言い方ですが、そう思っています。


2010年8月16日(月)

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