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258.(新)中国の給与の決め方

前回、今年から幹部の給与は全て自分で決めさせ、
それを公開し、給与に見合う仕事目標を設定する、
という制度にしたという話をし、
この制度を成功させる条件が、
1)中国人への理解
2)評価を給与に反映させるシステム
3)会社目標の明確性、だと言いました。

さて、中国人への理解とは?
これは、なにもたかだか中国数年の私が
中国を理解していると威張るわけではないですが、
私が観察するに中国の(悪い)特徴が3つあります。
1)言われた事しかやれない(人が多い)
2)得になる事しかやりたくない
3)出来なくても言い訳する

これらをひっくり返すと、じゃあ、
「言われた事しかできないなら、
やって欲しい事を全部明確にすればいい。
つまり責任(=仕事目標)を明確にすればいい。」
「得になること・・・なら、責任と利益を直結させればいい」
「言い訳できないように、必要な権限を与えてしまえばいい。」

これらを眺めていたとき、
中国で人を用いる時によくいう三原則
「責(ze)」、「権(quan)」、「利(li)」
という表現を思い出しました。

責任、権限、利益。なんだかどこかで・・・?

思えば、これらの考え方は、
その昔、ビジネススクールで
勉強するような内容と大差ないじゃないか!?
「責任」コミットメント
「権限」エンパワーメント
「利益」インセンティブ

そこでさらに気づいたのは、
私が昔働いていた職場というのは、
年棒が決まっており、
権限よりも実力と知的合理性が支配し、
自分の責任を超えて価値を出し続ける、
という職人的な環境だったので、
実はこういった商人的な組織づくりに
私自身が心の底から納得していなかったということでした。

「おまえは、これとこれをぜったいやれ。」
「その代わり、出来たらいくらやる。出来なきゃ引く」
「それをやり切るための権限は与えてやるから、
言い訳は一切なし、いいか!」

これが我々の新しい人事制度の核心です。

それから、数十時間に渡る目標設定面談がはじまり、
それぞれの申告給与を聞き始めました。

面白い事に、非常識な希望給与を言う人間は
一人もいませんでした。
全員の希望(言い値)を一切の調整なしに受け入れました。

一人を除いては。


2012年3月5日(月)

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