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265.不味くて最高な店(2)

前回の続きです。
その台湾のお洒落な女性達をジッーと見つめました。
どうか何か教えてくださいという気持ちでした。

入口の横に綺麗なインテリアが置いてあり
そこで写真をとっていました。

「お洒落ならそれでいいのか?インテリアが綺麗ならそれでいいのか?」

それは私にとって答えには思えませんでした。

実は、そのカジュアルイタリアンはその日の二回目の夕食でした。
(あれ?三回目だっけな?)

その前に食べていたのは、台湾でチェーンを展開する、
ステーキ系のレストランでした。
もうむちゃくちゃ流行ってるんです。

一人、499NTDですから、日本円で1500円にも満たないのに、
格好をつけた内装に、
フルコースっぽいメニューで腹一杯食べさせる。

18時30分ごろを狙っていったら、満席でした。
そこでも家族連れのお客さんが楽しそうに食事をしていました。

正直に言いますが、不味くて後半は食べられませんでした。
残しては悪いなという思いがありながら、食べられませんでした。

デザートを食べずに、席を立つと、店の店員が心配をして、
店の外にまでかけ出してきて、
お土産のクッキーを渡そうとしました。

「もういいから。」

というのが本心でしたが、あまりの(過剰な)サービスの良さに、
相手も真剣だろうから、
「急用ができて」と嘘をついてその場を去りました。

数日後、成都に戻ると一冊の本が目に付きました。
以前買った本ですがまだ読んでなかった。
サイゼリヤの社長が書いた本で、
「美味しいから売れるのではない 売れているのがおいしいのだ」
という本でした。

そこに明確に書いてありました。

お客さんは、自分がそこで食事をする目的と合致した時に最高の満足を得る。

美味い物を食べたいという目的のお客さんに
不味いものを食わせたら、だめなわけです。
しかし、洒落た雰囲気で、
楽しく友達と食事(の雰囲気)を楽しみたいお客さんにとっては、
味はたぶんあまり関係ない。
同様に、カッコつけた雰囲気で、
ちょっと特別な日を送りたいファミリーにとっても、
味は二の次ということになるのでしょう。

このことに気づき、
謙虚にそれを受け入れるのに、1年以上食べ続けました。


2012年4月23日(月)

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