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39. 飲水思源(水を飲みて源を思う)

「飲水思源(水を飲みて源を思う)」
この中国の古語は色々な解釈がありますが、
「水を飲むときにその水源を思う。
水源、
即ち井戸や水路を作った人達のことへの恩を忘れてはならない」
という戒めのことばです。

私は北京の生活に慣れましたが、
河の臭さと塵っぽい空気だけは慣れることはありません。
ライフラインの基礎である水はどのように確保されているのか、
大きな関心事だったので、
北京で使われるうちの20%の水を生産しているという、
高牌店汚水処理施設を見学しました。
中国最大の高牌店汚水処理施設
実は、近所の河の水が、オリンピック前に全て抜かれて干上がり、
綺麗な水に入れ替えられたことがありました。
ドブ川だったのに、
今では水生植物や稚魚が観察できるようになっています。
汚水処理場を見学して、
実は北京市がオリンピック前に巨額の資金を投資していて、
ここ数年で9つの汚水施設が完成し、
2000年から2008年にかけて
汚水処理率が40パーセント代から90パーセント台にまで
急激に上がったということを知りました。
北京で事業をする人にとっては
あれだけ不便だったオリンピックでしたが、
実はとても大事なことを残してくれていたのだなあ
と今更知りました。 それでも、汚水処理場の案内してくれた方によると、
工場廃水を無断で河に廃棄するようなケースが
まだまだあるそうです。
当然、問題が発生したら調査されて罰金を科されるのですが、
汚水を廃棄するケースが後を絶ちません。
北京でこんな調子ですから、
その他の地域の汚水処理率は
まだまだ低いレベルなのかもしれません。
海や河へ工業用水を流してしまっては、
その水で育つ魚や作物、家畜を食べる人間へと毒が循環しますから、
ひとごとではありません。
まだまだ汚い近所のどぶ河
経済発展に沸く中国ですから
「飲水思源」どころじゃないという気持ちは
わかるような気もするし、
一方で汚水処理施設を作るには大金が必要ですから、
経済が発展しないと作れないという現実もあります。
しかし、北京市は汚水処理率の向上、交通規制による交通量の減少、
ビニール袋の有料化など、
積極的に資金を投入して
経済発展と環境問題の舵取りをしているようです。
中国全土で北京市のように環境対策が進むことを期待しています。

化粧品事業のことにひるがえってみると、
私たちがつくる化粧品は
長白山の汚染のない水と
その水で育った薬草を使用させて頂いています。
それがどれだけ中国で貴重なことか、
しみじみと有難さを感じました。

地球上で利用可能な水のうち4分の1が中国で、
そのまた8分の1が北京で使われているそうです
(地球上の約3%)。
北京の人口は1700万人で世界人口のおよそ0.25パーセントですから、
非常に水資源に恵まれています。
豊かになってきた今だからこそ、
「飲水思源」ということばを大事にしたいものです。

<つづく>
絶世の活動情報 : www.zessei.com


2008年10月17日

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