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68.お金がアル・ナイなりに
中国に来てから明らかに価値観が変わったことがあります。

わが社の社員は、北京以外から来ているのが多いのですが、
故郷の親戚が入院したといえば休む者、
親友が妊娠したといえば手伝いに休む者、
親戚や知人がどうのこうの・・・休む理由にあふれています。

日本では休みをつくるために「親戚の葬式が・・」と
親戚を勝手に利用するような縁起ない話をよく聞きますが、
私も日本にいる当時、
葬式くらいでしか会社を休んだことがなかったので、
こんなに休ませては、
次第に管理しきれなくなるんじゃないか
(管理者失格と判断されたら困る)と心配でした。
しかし、恐る恐る仕事をしっかりするスタッフに対しては、
ブツブツ小言を言わず、努めて大らかに、
ほぼ本人の意向通りに送り出してあげていました。

決められた仕事範囲で休む限りは、却って
やっかいな日本人の細かい管理のストレスから解放され、
英気を養って帰ってくるので、
仕事場の指揮が下がるという問題はないようです。
しかし、驚くことに、次第に中国人の価値観が
私にも伝染って来たようなんです・・・。

私はより大きなやり甲斐や経済的成功を求めて、
家族と離れ、中国に出稼ぎに来たのです。
仕事に打ち込むぞ!と。
日本では、お金を中心とした人生設計でしたので、
会社での自分のポジションを確率することが優先で、
よっぽどのことでないと、
家族のために自由な時間をとることは自分ではしませんでした。
今思うと非常に冷たい奴ですね(イヤダ、イヤダ・・)。
中国に出稼ぎに来て2年たちますが、お恥ずかしながら、
今更にこれは間違っていた!と感じだしています。

いくら偉くなっても、
お金を中心にした人生設計には人徳がつかないし、魅力がない。
お金は人生を豊かに、
そして便利に過ごす最高のツールですが、所詮は道具。
家族や大切な人間関係はそれには変えられないもの。
それで日本に帰るということではありませんが、
家族や大切な友人達との絆をより意識するようになりました。

そして、お金があることを自分の価値基準にしたり、
お金がないことを何かのいい訳にしていては
絶対に幸せにはなれないなと感じています。
それを教えてくれたのは、皮肉にも、
お金稼ぎにきた中国の人々でした。
彼らにもお金は大きな関心事に違いないですが、
お金がなくても今の人生を大事にして、
楽しむ姿勢は私にとって、とても新鮮でした。

お金は天下の回りもの。出たり入ってきたりが常です。
邱先生の種字林には「夢多銭少」
という書画があります。
お金は夢が尽きない限りいつも物足りなく思うもの。
しかし、お金のために
家族や仲間がどこかに行ってしまわない様に
きずなを大切にしてゆきたいです。

自分の幸せのバロメーターは何か、
中国はまだまだ色々なことを教えてくれそうです。

<つづく>
絶世の活動情報 : www.zessei.com


2009年5月8日

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