トップページ > 絶世美人便り > バックナンバー

   毎週金曜日更新

120. 北京に金持ちが多いワケ

私の住む北京には
1千万元(1.4億円程度)以上の資産をもつ富裕層が
15万人以上もいて、中国では一番富裕層が多い都市です。
経済の中心地である上海や広東省のほうが多い
と思う方も多いかと思いますが、私もそうした一人で
なぜ北京に富裕層が多いのか不思議でなりませんでした。
資源がない中、競争力のある工業製品を一生懸命つくってきた
日本の先輩方の背中を見て来た人間としましては、
中国に十数年の間に急速に、ここ迄多くの億万長者が
増える様子が実感としてピンとこないのです。

ある日、北京戸籍の友人との会話のなかで、
「不動産投資熱がすごいけれども、君の家も不動産投資してるの?」
と聞いたところ、彼は嬉しそうな顔をして
「実は今準備しているところなんだ」と。
こんな不動産価格が高騰しているところで買うなんて
一体全体勝算はあるのかと聞くと、「ありますよ」と一言。

詳しく聞くと、親戚に外務省に勤めている人がいて、
その人は市内のある土地を1平米4千元程度(56000円程度)で
購入できる権利をもっているのだそうです。
その土地は市場価格だと1平米3万元(42万円程度)は
下らない場所にあります。
ざっくり計算すると、購入した時点で、
既に少なくとも6倍以上の利益を期待できることになります。

中国の公務員の給料は安いので、
警察や衛生局などは取り締まりと称して罰金を課したり、
融通するかわりにお小遣いを稼いだりすることがありますが、
公務員も部署が変われば驚くようなボーナスがあるのですね。
特に北京には政府のエリートや
お偉いさんが集まるところですから尚更です。

私もよく北京の街で40歳にもならないような人で、
どこかの社長とか役員にもどうしても見えない、
一見パットしない風貌の人(失礼ですね・・・)が
高級車にのっていたりするのを見るにつけ、
何をしている人だと友人と顔を見合わせるのですが、
こうした恩恵があることを知って、
やっと実感としてピンとくるようになったのです。
しかし、中国の土地は国家のもので、
土地には70年の使用権が決められているだけですから、
土地を子供に引き継ぐ事はできませんし、
土地は国家に戻ってくるわけです。
中国政府からすると、こうした土地を内部価格で
社員である公務員に融通するだけで、お金を払わずとも、
公務員になるメリットを引き上げ、
優秀な公務員を指揮し続けることができるのです。
中国政府に優秀な人が集まるのも頷けます。
なんと上手い事考えられているのでしょう。
ますます強くなる中国を思い知った次第です。

<つづく>
絶世の活動情報 : www.zessei.com


2010年5月7日

<<前へ  次へ>>