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142. グループホームで光を見た

一年ぶりに日本に帰って来ています。
90才になる祖父や家族、親しい友人を訪ねるだけで
あっという間に時間が経ってしまいます。
先日、同い年にしてグループホームを
5つも経営している友人を訪ねました。
グループホームというのは病気や障害を抱えた方が
専門のスタッフの助けを得ながら暮らす場所です。

グループホームで毎日を過ごす経営者の友人が
そこで暮らす色々なかたの話をしてくれました。
昔から人生をともにしてきた家族が、
特に痴呆症などで意思疎通が難しくなってしまうと、
家族はどうしてもその方にきつくあたることが
増えてしまうそうです。
きつくあたられる方も自分は邪魔者と思ってしまいます。
中には介護している家族が、その苦労に絶望し、
相手と共に人生を諦めてしまいたい、
と思うに至る方が多いのだそうです。

私の祖父祖母も高齢者の2人暮らしをしていたことがあり、
一方が身体に障害を負ってしまいました。
その介護をもう一方が懸命に行いましたが、
介護しているほうが病気になってしまったのです。
そうなって初めて介護施設に入ったのですが、
専門スタッフの助けを受けながら暮らすようになってからは、
2人とも良くなったのです。
もっと早く利用していれば良かったのかもしれません。

核家族が多く、高齢化社会の日本は
家庭内で介護分担が難しく、共倒れはかなり深刻な問題です。
しかし、それでも親やパートナーにこうした施設に
入ってもらうこと、一緒に過ごせなくなる事に
後ろめたさを感じる方が多いのが事実です。
そこで友人が「お年寄り版学生寮だと思ってくれればいい」
と話してくれた言葉が印象的でした。
病気や障害を抱えた方がより良いサポートを受けられる環境で
助け合いながら暮らすという発想です。
そのグループホームで生活するみなさんはとても明るくて、
希望もない共倒れ一歩前の家庭と対照的でした。

<つづく>
絶世の活動情報 : www.zessei.com


2010年10月8日

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