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232.西安と西遊記

欧米文化に慣れ親しんだ人でも、
西遊記や敦煌などシルクロード、中央アジアを旅するお話に
心を奪わない人は少ないでしょう。
私もそのひとりで、敦煌の話は何度も読んだし、
邱先生の西遊記は1日1冊のペースで8巻続けて読んでしまいました。

西遊記の話で三蔵法師は長安、いまの西安から旅を始めます。
西安は玄奘三蔵、始皇帝の兵馬俑、
楊貴妃ゆかりの場所など名所ばかり。
あこがれの西安に初めてゆく機会がありました。


「玄奘三蔵のために建てられた大雁塔」


「兵馬俑」

シルクロードのお話には、
現代の価値観と違った何かに情熱を燃やして、
レールのない人生を、運命に流されながら
異文化の土地を旅するという話がいかにもロマンがあって好きです

三蔵法師は当時国外に旅するのは国禁でありながら、
国外をでて17年もかけて西域へ行き、聖典を国に持ち帰りました。
厳しい旅の合間には、その土地土地の王から国賓としてもてなされ、
さまざまな誘惑があったでしょうが、
初志貫徹でインドの仏教を長安に持ち帰りました。
結果的に皇帝にその業績を認められますが、
三蔵法師は自分の思うところを突き進みました。

邱先生の西遊記には、邱先生の人生観が盛り込まれており、
旅行中、読み返してしまいました。
千を越える年齢の仙人が40歳そこそこの三蔵法師に
若さに似合わず有名になった秘訣はなにか?と聞きました。
すると三蔵法師がこう答えます。
「私が他人と違う生き方ばかりねらってきたせいかもしれません。
有名になる者は、等しきを憂うるのが本当ではないでしょうか」

またこういう場面もありました。
「大唐国は物は豊富で生活には困りませんが、
精神文化に欠けているのでございます。
人は物なくして生きては行けませんが、
食べるために生きているのではないのです。
それで心の糧を求めて、
こうして西方へと旅を続けているのでございます。」

物質的に満たされてない人や欲深い人には
ゼイタクとか間抜けな旅に聞こえるかもしれませんが、
多くの人が西遊記にこころを奪われるのは
三蔵法師に同感しているからではないか。
わたしも旅で心の保養をしてまいりました。

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2012年6月29日

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