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34.高地のコーヒーを求めて(1)

中国産コーヒーは98パーセントが雲南省で生産されています。
雲南省の中で2大生産地があります。
一方が加工場がある怒江大渓谷一帯です。
もう一方が、南部に位置する
プーアール茶の生産で有名なプーアール市です。
プーアール市では、ネスレやスターバックスといった
外資の大手コーヒー企業が大規模に生産しています。
怒江大渓谷一帯の生産地では小農家が数ヘクタール単位で栽培し、
コーヒーチェリーを各農家で加工し、
パーチメントやグリーン豆になったコーヒーを
国内業者が買い取っていきます。
コーヒーは農場の環境や栽培管理も大切ですが、
雑味やコーヒー独特の風味を引き出す為には加工が重要です。
怒江一体はまだまだコーヒーの加工技術が浸透していないため、
安定した品質を保つ事が難しい現状です。

私たちは標高700m~1500mに広がる
コーヒー生産者やコーヒー生産村を訪問し、
話を聞くようにしています。
標高の差によって樹木や土壌がどのように違っているのか、
栽培管理がどのようになされているか、
生産者の取り組み姿勢について調査しています。
私たちが今後農場を拡大したり
より品質を高めていくために重要と考えています。

そのような多くの生産者との出会いの中で、
卓越した栽培技術をもつ若者に会うことができました。
素朴な人柄できらきらした美しい瞳を持つ勤勉な32歳。
私たちはきらきら兄さんと呼んでいます。

彼の農園は車がようやく通れるような山道を
1時間程車で分け入った、
標高1350mの秘境ともいえる高地にあります。
16歳の時からコーヒーを栽培し、
独学でコーヒーの文化から栽培までを勉強したそうです。
グリーン豆を網でまんべんなく焙煎し、
ドリップでコーヒーを上手に入れることができます。
中国でコーヒー関連の会社に訪問しても、
社員がコーヒーの飲み方を知らない為に
コーヒーを出すところはほとんどありません。

生産の技術も他の生産者とは違います。
農場内に5種類の品種のコーヒーを栽培し、
接木をして品種改良を行ったり、
木の栽培間隔を変えて木の成長変化を日々観察しています。
「外国のコーヒーの味がわからないから、
自分がかけ合わせたコーヒーが、どういう国のものに似ているのか。
焙煎度はどれぐらいがいいか見てほしい。」
と、邱公館の加工場を訪れ、
ジャマイカやドミニカ共和国の栽培の写真を見せ
共に考えているところです。
コーヒーが売れればいいとだけ考える生産者が多い中、
彼のような研究熱心な生産者は中国では貴重な存在です。
丁度私たちとも同世代。
より高級な希少価値の高い高地栽培のコーヒーの生産方法について
日々語り合っているところです。


2010年7月28日(水)

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