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37.少数民族の誇り

加工場の周辺には7つの少数民族が
300人から1000人程度の集落で暮らしています。
一つ一つの集落は山奥深くに点在しています。
村内は同じ民族だけでなく、タイ族と漢族、
ミャオ族と漢族が共に暮らしている場合もあります。

コーヒーの産地の視察では、
最初に村長や村の有力者へ挨拶に伺います。
私たちは
専門のコーヒーの樹木の状態・生産の情報を得るだけでなく、
生産者の暮らしぶりを知ることがとても大切だと考えています。
7つの民族ごとに文化や価値観が違います。
たとえ小さな違いでも、
誤解やすれ違いなく信頼を得られるように注意を払っています。
村長の村自慢に耳を傾けると、
民族が違っても農村の人々が共通して誇りに思っていることが
3つあります。

一つ目に一番大切にしているのがお年寄りです。
特に村で最長寿の老人に、村人は誇りと敬意を持って接しています。
どの村長も真っ先に案内してくれるのは長老の家です。
今まで出会った最長老は92歳のミャオ族の女性です。
一つの家の敷地内になんと5世代で暮らしていました。

2つ目に誇りに思っているのは村の中で新しく建て替えた家。
世代を超えて家族が暮らす家は富の象徴。
今までの少数民族は、黒く小さい瓦を重ねた屋根に
土で固めたレンガを使った家に住んでいました。
最新の家はコンクリートと焼いたレンガを使って建築され、
壁はタイルで飾られています。
室内には大きめのテレビやステレオ・洗濯機を置き、
屋根の上には太陽光で暖まる温水器の設備が備わっています。
新しい持ち家は車やバイクとは別格のあこがれの対象です。

タイ族の新築祝い

3つ目に人々が大切にしているものが手作業で作製された民族衣装。
民族衣装は家族で受け継いでいきます。
独自の言語を持つミャオ族の女性は想像豊かで、
伝統の刺繍パターンに個性的なアレンジを加えています。
色とりどりの糸を自在に使って、
家事の合間に細かい刺繍をさす姿を見かけます。

農村に暮らす少数民族は農村籍の壁もあり、
現金収入を得て経済的な貧困から抜け出ることは
容易ではありません。
一方で、生活の中には数少ない選択肢しかないからこそ、
家族が団結して愛情豊かに、
伝統の感性が研ぎ澄まされているのかもしれません。


2010年8月18日(水)

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