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40.収穫準備

雨季も終盤。
加工場の事務所の窓に
さわやかな秋風が吹き抜けるようになりました。
窓から見えるトウモロコシ畑は収穫が終わり、
ジャガイモの植え付けにむけて土壌を休ませています。
朝夕の気温が下がり湿度も下がると、
スタッフの作業効率が一気に上がってきます。

加工場では、コーヒーチェリーの収穫を目前に、
受け入れの準備に入りました。
加工用機械の整備と乾燥場の清掃作業、乾燥台の網の手入れです。
地味な作業ですが、
包丁の手入れや料理の下ごしらえと同じ様に丁寧に行います。
スタッフを三つのグループに分けて3週間の作業です。

乾燥場は200メートル四方、4,000平方メートルの広さがあります。
雨季の間にコンクリートの地面に付着した土や埃は、
水で洗い流すだけではきれいになりません。
特に今年は、道路工事の粉塵が飛んでこびりついたので
ひどく汚れていました。

洗浄の為に使うのがパーチメントのぬめり取り用の高圧洗浄機。
業務用ケルヒャーの中国版の普及品です。
水撃を80cmの高さから地面に当てて汚れを落としていきます。
スタッフは水撃の振動を全身で受け止めての作業です。
みるみる気持ち良いくらい汚れが落ちていきます。
ところが作業中盤で突然、
高圧洗浄機が鈍い音を立てて爆発したのです。
幸い怪我がなかったものの、飛び散った部品を目の前に、
びしょぬれの作業員は茫然と立ち尽くすばかり。
2度と高圧洗浄機に触りたくないと言い張るのももっともです。
10倍のコストをかけても本物のケルヒャーや
日本のメーカーの製品を手に入れたいと切望した瞬間でした。
部品を修理して、機械がショートしないように気遣いながら
乾燥場の洗浄作業は無事終了しました。

農村でも生活が少しずつ豊かになって
安価な電気製品も出回って体裁は良くなってきています。
ただ、そこから信頼のおける高品質な本物を手にすることは
容易ではないことを彼らは良く理解しています。
本物を渇望するからこそ生まれるハングリー精神でもあるのです。

それ故に、高品質のコーヒーを育て市場に送り出すことで
農村のスタッフが得られる自信は
計り知れない活力にと予感しています。


2010年9月8日(水)

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