パリだけがフランスではありません

第50回
不思議な味覚のDNA

我が家の調味料棚には、
フランスの一般家庭で使われる物に混じって、
日本料理に欠かせない物も入っています。
お醤油、米酢、味りん、ごま油…日本酒も常備したいのですが、
手に入っても誰か(私も共犯です)がすぐ飲んでしまうので、
料理までまわらないのが実情。

と言って頻繁に日本料理が食卓にのるかというと、
実はまったく「ノン」なのです。
食事は家族が好む料理を心がけているからです。

味覚は個人差があるので、誰もが嫌いとは言えませんが、
少なくともオリヴィエの家族は「甘辛味」「だし味」が苦手です。
オリヴィエが日本に来た時は
珍しさも手伝っていろいろ口にしていましたが、
ここではほとんど食べません。
ジョジョ(義母)に至っては、
結婚式前一度だけ日本に来てくれましたが、
食事が合わず大変な思いをしました。

彼女に言わせると、
日本では何もかも魚臭い匂いがして食べられなかった。
フランスで料理に甘みを付ける時は、
玉ねぎなど野菜でその味を出す。
砂糖を直接入れるなんて、アー考えられない、というわけです。

でも私は日本の味も食べたくなります。
そういう時はどうするか。
自分用に作って、おやつや箸やすめ的につまんだりします。

面白いのが息子です。
真っ黒なひじきを見ると
オリヴィエは「ウーッ」と顔をしかめますが、息子は食べます。
私が食べる日本食について、
すべてではありませんが、久にはあまり違和感がないようです。
少なくとも父親より許容範囲が広いのは確か。

お醤油と味りんでマリネしたマグロのステーキは好物だし、
ラーメン、味噌汁(インスタントですが)、
ひじきの煮物、とろろ昆布、塩昆布、ふりかけなども好きです。
日本料理とはいえませんが、
日本の味にけっこう馴染んでいるといえるでしょう。

母親が食べているので「真似」ている面もありますが、
彼のDNAのどこかに日本の味が記憶されているのかな、
と思うとおかしいです。


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2005年5月11日(水)

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