パリだけがフランスではありません

第100回
始まりの季節

今年の1月から始めたこの連載も、
ようやく100回を数えることができました。
邱永漢先生の日刊2000回は雲の上としても、
他の執筆者の方々も100回などとうの昔に過ぎていらっしゃいます。
ただ私にとってこうした長丁場は初めての経験。
ここをまた「始めの一歩」として、
少しでも普段着のフランスをお知らせできたらと思います。

ところで「始まりの季節」と題したのは
私の「始めの一歩」とは関係ありません。
9月はフランスにとって、
というより欧米では「始まり」の時だからです。

学校は新学年になり、
いろいろな習い事なども9月、あるいは10月から新たに始まります。
政府の予算、前年度の税金申告、徴収などもこれからです。
そしてもう一つ。
ストライキもこれからがシーズンになります。

7、8月とのんびりバカンス気分を楽しんだ人達も、
9月の声を聞くと途端に現実的になるわけです。

夏前、EU憲法否決は
フランス国民の現政権に対する「ノン」でもあるということで
ラファラン前首相の首が飛びました。
そしてイラク戦争反対の大演説で日本でも名が知られた
前外相(当時内務相)、ドビルパン氏が
シラク大統領より新首相に指名されました。

この交代劇はちょうどバカンス時期突入寸前でした。
もちろんジャーナリストもバカンスです。
つまりフランス国民のほとんどが
2ヶ月あまり政治に対して無関心だったといえるでしょう。
「でもこれからは違うよ」とオリヴィエ。

失業率10%を越える問題の解決策など、
新たに打ち出された政策の結果を
9月以降は誰もが再び真剣に見つめ直すからです。
といってそんな急激に効くような特効薬があるとは思えませんが…
なにしろ文句をつけることにかけては
天才的な国民ですから
はてさてどんな形で不満が噴出するやら見当もつきません。

フランスでは、9月が良くも悪くも
いろいろな事の「始まりの季節」というわけです。


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2005年9月5日(月)

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