パリだけがフランスではありません

第102回
大統領の健康

3月2日、シラク大統領(72歳)入院の報に、
フランス中にちょっとした衝撃が走りました。
しかしその後、網膜の血管障害で
重大な病状ではないと発表されました。
病院は厳重な報道規制がしかれたものの、
最長でも1週間程度の入院で
通常業務に復帰できるだろうとの見通しが出て、
まず落ち着きました。

フランスの大統領は強大な権限を持っています。
革命で王や女王をギロチンにかけた国ですが、
今や大統領はそれに近い国を象徴する人でもあるように、
私などには思えます。
それに反し、首相というのは実務家で
働き者でなければ勤まらないようです。
なにしろ国民から政治に対する不満が爆発した時、
大統領の盾のごとく矢面に立って防戦するのはもちろん、
失敗すればその責任を一手に取らされるからです。

大統領は外向けの顔(外交を含めた国政のすべて)で、
首相が内向きの顔(内政運営)といえるでしょうか。

2007年の新たな大統領選に向け、
すでに政界内でのいろいろな動きが
雑誌などで取り沙汰されています。
しかし国民の関心は、
今のところドビルパン内閣のお手並み拝見
といったところでしょうか。

日本は11日に小泉内閣の命運をかけた衆議院選挙だし、
ドイツもシュレーダー首相自身の首をかけた総選挙が行なわれます。

ことドイツの総選挙において、
対抗馬の野党キリスト教民主同盟メルケル党首は
シュレーダー首相が
フランスやロシアとの協調を図って来たことに反し親米派。
トルコのEU加盟にも慎重な立場を取っています。
つまり選挙結果によっては
フランスとの関係に軌道修正があるかもしれません。

実はシラク大統領が病に倒れなければ、
今週ドイツでシュレーダー首相との
首脳会談が行なわれるはずでした。
選挙前のドイツ現首相にとって
EU拡大路線で手を携えてきたフランスからの応援は、
ぜひ必要だったでしょう。
フランス政府にとっても相棒ドイツの現首相の
路線継続を願ってのことだったかもしれません。
でも残念なことに中止と相成りました。

こうして間もなく現場に復帰するであろう大統領ですが、
本当の病気や病状を隠しているのではないかといった
野党やマスコミの疑いは消えていません。

まだ2年ある任期満了まで
大きな責任と激務を担っていかれるのか。
少々気になるところではあります。


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2005年9月9日(金)

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