国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第110回
不細工なリンゴの味

日に日に秋の気配というより冬の気配が近づくこの頃です。

マルシェの店頭からは
色とりどりの鮮やかな夏野菜がすっかり姿を消し、
根菜類を中心とした冬野菜が並ぶようになりました。
そして果物もぐっと種類が限られ、
ブドウ、洋ナシと並んでリンゴの季節になりました。

みんな「真っ赤なほっぺの」と形容したいところですが、
ここのリンゴたち、特にマルシェに並ぶリンゴはひどく不細工です。

スーパーマーケットで売られているリンゴたちは、
日本ほどではありませんが、まあ美人といえる器量を保っています。
ところが特に有機、減農薬を売り物にするマルシェとなると、
驚くほど不細工なリンゴが売られます。
いかにも庭の木になったリンゴという風。

そんなリンゴの味には少し酸味があり、
コリコリした歯応えがあります。
美人リンゴの甘くてすかすかの歯応えと違って
野性的といえるでしょうか。

いつかラジオで
日本のマスクメロンが1万円以上するという話しを聞いて、
義父が本当の話なのかと私にわざわざ確かめたことがあります。
だいたい果物を
正式なプレゼントにする習慣のないフランスですから、
なぜそのように高いのかを説明するのに困った覚えがあります。
ここでは化粧箱入りの高級フルーツがないからです。

贈答に用いる日本では、
マスクメロンはその代表ですが、
モモでもサクランボでも非常に丁寧に美しく育てるように思います。
フランスでは日常的に食べるものなので、もっとずっと大雑把です。

いずれにせよ不細工だから味が悪いとはいえません。
先にも触れましたが、かえって野性的で自然な味がします。

といっても
不細工でそのまま食べるにはどうにも酸味が強過ぎる場合
(これは本当に庭の木になった実で売られる物ではありません)、
これらの実りを美味しくいただく方法があります。

コンポートといって、ようは砂糖煮です。
少々レモン汁を加え、干しブドウも入れて煮込むと
美味しいおやつやデザートになります。
不器量なリンゴや少し傷んだ酸味の強いリンゴは、
こうして食べると美形リンゴにはない旨味が楽しめます。


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2005年9月28日(水)

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