国際結婚してフランスの田舎に住んで

パリだけがフランスではありません

第138回
パリでは暮らせないけれど、田舎なら

オリヴィエと時々「パリに暮したらどうか」
と話し合うことがあります。

少ないといってもパリには彼の昔からの友人がいます。
我が家の常連客ミッシェルはその代表ですが、
他にも変人ばかり?
70歳に近い今、
ガールフレンドに子供ができて結婚しようか悩んでいる人。
モネの睡蓮の庭があるジュベルニー近郊の大きな家で、
母親の面倒をみて暮す独身老男性。
実はホモセクシュアル、
などなど。
60〜70年代大いに自由に生きた人ばかりです。

オリヴィエも含め、当時の彼らの暮らしを聞かされても、
私の生活感から大きくはみ出すため、
小説を読み聞かされているようです。
彼いわく「フランスでも一般的じゃない」。
当然でしょう。

そんな友人たちとの会話は、
もう私が聞き取れる範疇を大きく逸脱します。
洒落、冗談、比喩、常套句、フランス語独得の言いまわし、
決り文句…
成績優秀なインテリとは違う、
文化的な知識と経験から得たインテリジェンスというか…
常識にとらわれない自由な会話が飛び交います。
気取りは一切ありません。

そういう種類の友人をここ
(ブルターニュに根を張って生きている人に
この種の感性を求めるのはないものねだり)で得るのは無理といい、
だから「パリに住んだらどうなるか」となるわけです。
私にとってもパリなら日本がずっと近くなります。

でも結論はいつも私たちには「無理」。

住むところから問題だし、
都会は生活費が田舎とは格段に違います。
友人との会話を楽しむには家に招いたり招かりたり。
パリではこれが必須です。
バー、レストランの支出も増えるでしょう。
文化を楽しむにもただではありません。

と経済的な面だけでなく、
まず彼の深いところで「都会」が合わない。
私?
本来都会っ子ですが、
だからこそ「田舎」への憧れが強いかもしれません。
「都会」に暮さずとも、行きたい時に行ければそれで良いのです。

田舎暮らしには便利さも手軽なナイトライフもありませんが、
自然があります。
これから越そうという家は、庭仕事も重要な日課になります。
どんな木を植え、どんな花を植え、どんな畑を作るか。
長い冬の夜は、暖炉の火が体だけだけでなく、
心も十分に温めてくれそうです。

もちろん私たちにも
「退屈しないか」
「今より他人とのコンタクトがなくなる」
という不安がないといえば嘘です。
ただ「田舎暮らし」を選んだのは、
退職者のような暮らしをするためではなく、
新しい可能性を求めての選択。
きっと今よりアクティブな生活になるでしょう。

余談ですがジョジョに
「ギアックの村(これから暮すとこ)で毎週木曜、
有機野菜の市場があるんで良かった」
といったら、
「向こうに行ったら野菜なんて買っちゃ駄目。
全部庭で作れるんだから」
と言われました。
オリヴィエは得意だと自称していますが、
私たちにできるでしょうかね。


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2005年12月2日(金)

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