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         第126回 
          プロローグ〜物語の始まり〜 
        昨夜、中国人民銀行から 
          重大な発表がありました。 
           
          現在、事実上米ドルに固定している 
          人民元の為替制度を変更し、 
          現在の1ドル=8.2765元から 
          1ドル=8.1100元に切り上げるとともに、 
          複数の通貨、おそらく米ドル、 
          ユーロ、日本円を軸とした通貨に、 
          一定の割合で連動するとみられる、 
          「通貨バスケット制」を採用すると発表しました。 
           
          3月の全人代で温家宝首相は 
          「中国の為替制度改革は 
           意表をつくかたちで行われるだろう」 
          と言っていました。 
          今回の発表はまさに意表をついてます。 
        前回ご紹介したとおり 
          8月切り上げ説がでた直後であり、 
          また、週の始めや週末ではなく木曜日の、 
          しかも、夜に発表されるとは 
          夢にも思っておらず、驚かされましたが、 
          今のこの時期ほど人民元改革という 
          切り札を出すことに適した時期は 
          ないのかもしれません。 
           
          9月に胡国家主席が 
          訪米を予定しています。 
          そこで確実に 
          人民元改革についての話が出されることや、 
          米国、EU諸国との貿易摩擦問題が 
          激しくなっており、 
          その矛先をかわす狙いがあったこと。 
           
          国内では、外貨準備高が 
          7000億米ドルを突破し、 
          人民元気利上げ期待などによる 
          資金流入がとまらず、 
          このまま放置しておけば、 
          バブルとなって 
          崩壊してしまう恐れがあったことが挙げられます 
           
          約2%の切り上げは、 
          試験的な意味合いが強く、 
          国内外の情勢を見極め、 
          そして、いくつかの段階を経て 
          変動相場制への移行を 
          目指していくものと思います。 
           
          また、市場にどう影響を与えるかは、 
          市場が開いてみないとわかりません。 
          しかし、前日までにH株指数などが 
          切り上げを見越していたかのように 
          急上昇しているため、 
          比較的冷静に動くのではないかと思います。 
           
          今回の人民元切り上げは、 
          物語の始まりに過ぎません。 
          全世界から中国株の動きに 
          注目が集まることでしょう。 
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