杉浦秀子さんが掘り起こしてくれる
日常に埋もれた美のヒント

第1回
変わらずにいる人が一番変化している

世の中に変わらないものは無い。
景気だったり、流行だったり。
恋心だって、「彼は昔の彼ならず」というではありませんか。
時は一刻一刻と過ぎ、私たちは少しずつ年を重ねていく。

10年程前日本はバブル時代。
みな大きな肩パットの入ったジャケットを着ていたし、
袖の部分も布地をたっぷりと使ったデザインで
全体的にみたら逆三角形のようだった。
靴はフェラガモが流行っていた。
今、家の下駄箱には2足のフェラガモが眠っている。
町を歩いていても、
誰もはいていないから出番がまわってこないのだ。
まだまだ履けるというのに。
私のような人は結構多くいるのではないでしょうか。
10年前のスーツなど着ていたら、時代遅れの田舎者です。
顔にだって流行があります。
バブルの時代は太い眉に真っ赤な口紅が定番でした。
今は眉のお手入れは少しして、口紅はピンクベージュです。

10年前と変わらないと言う人がいる。
そういう女性が
一目で10年前の服と分かるようなものを着ているでしょうか。
絶対にないはずです。
時代の変化に合わせて自分も変わっているのです。

次々に捨て、買うということがもったいない
ということは理解できます。
バブルの時代にあれほどお金をつぎ込んだのに。
いくら時代遅れといわれても、捨てられない。
私はあの時代から学びました。
ファッションをはじめ、
全てのものは必ず変化するということを。
いつも、世の中の行き先を見ていなければ、
女性は美しくなれない
というより、美しさを持続することができない。
世の中をみるというのは何も、経済活動だけではないようです。
女性は自らをプロデュースするという大きな仕事があります。
今、時代の風がどの方向に向いているのかを
感じとって美しくなる。
変わらない人が実は一番変わっているはずです。

2004年2月12日(木)更新
- このコラムは連載終了いたしました -

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■杉浦 秀子 (すぎうら・ひでこ)
愛知県生まれ。南山大学法学部法律学科卒業後、地元愛知で事務職を経験。
家庭の都合で上京後、以前から好きなJAZZのアドリブに憧れ、初めてJAZZ PIANOを習う。
現在セミプロとして、都内のレストラン等でカルテットのバンドで稼働しながら
プロとして旅立ちができるように日々精進している。


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