田中 宥久子

時代の美意識

第1回
変わる美の基準、変わらぬ美への渇望

皆さま、はじめまして、田中宥久子と申します。
今回から、このコラムを書かせていただくことになりました。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

私は、映像の世界のヘアメイクの仕事を皮切りに、
化粧品開発、顔と体を変えるマッサージメソッドの提供など、
現在に至るまで一貫して美を扱う仕事をしてまいりました。

多くの女性が、美しくなることで心の呪縛から解放され、
心の底から笑い、幸せに生きていけますように。
これがずっと変わらぬ私の仕事の原動力です。

また美しいとはどういうことか、美しさとは何なのか。
こうしたことも約40年以上にわたり仕事を続けてきたなかで、
自分なりに見えてくるようになりました。
美容という枠に留まらず、美の仕事を通して学んだこと、
感じたことなどもお伝えしていけたら、
と考えております。

美の法則は何かを考えると、ひとつの大きな特徴として
「美しさの基準は時代によって変わる」があります。

たとえば平安時代の頃の美人の条件は、
目が小さく、おちょぼ口で、下ぶくれの顔立ちでした。
肌も、白くて透明でふくよかで柔らかいほうが
美しいとされていました。
しかしその基準は今の時代にはあてはまらなくなっています。

また、当時は位の高い男性は化粧をするのが当たり前でしたが、
現代の男性にとって化粧は
女性がするものとの感覚しかないでしょう。
美しさに対する感覚や感じ方、基準は一定ではないのです。

一方で変わらぬものもあります。
「美しくなりたい」と思う気持ちです。
時代関係なく、さらには男も女も関係なく、
人が人である限り抱き続ける渇望です。
不変の美の法則といってもいいと思います。

さて、皆さんの中には
「きれいになりたい、でも…」とbutをつけて、
美しくなることを諦めている方、
放棄してしまっている方もいらっしゃるかもしれません。
Butの後に続くのは、
「年だから」「顔立ちがよくないから」
「チビだしハゲだし太っているし」
などさまざまだと思います。

まず、ひとつだけ申し上げておきたいことがあります。
きれいになりたい、美しくありたいと願うなら、
その思いに素直に忠実でいてください。
思いさえ手放さなければ、人は誰でも美しくなれます。
なぜなら、この世には本当に醜い人など存在しないからです。





2009年10月29日(木)更新
- このコラムは連載終了いたしました -

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タイトル-田中宥久子■田中 宥久子 (たなか・ゆくこ)
1946年福岡県生まれ。
大正時代より美粧院を営んでいた祖母から、美粧の基礎を仕込まれて育つ。国家試験取得後、ヘアメイクをはじめ、あらゆる美のクリエーターとして、映画やTV、CM等で活躍。氏を指名する監督、女優、俳優は後を絶たない。
03年、化粧ブランド「SUQQU」を立ち上げ、独自理論による商品開発で驚異的売上を記録、美容界の伝説となる。
07年、Y・METHOD を立ち上げ、メディアや講演会等を通し、自身の美の信念を着実に具現している。長年の経験と美容理論から考案した“造顔マッサージ”は、その効果に絶大な反響を呼んでいる。
主な著書は「田中宥久子の造顔マッサージ」 、「田中宥久子の体整形マッサージ」、「男も見た目の時代」、「美の法則」ほか多数。

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