しかし、「仕事」と「マイホーム」のうち、どちらに重点がおかれているかというと、いまでも大半の人々は「仕事」であると考えているから、こうしたコペルニクス的転換が社会の一大潮流になっていくとは考えられない。もし仕事とマイホームの間に、障害や矛盾があれば、それらの困難を、仕事の放棄以外の方法で解決するのが実際的な解決方法であろう。
たとえば、住宅ローンをくんでようやく郊外にマイホームを建てた人が実際にそこに住んで会社に通勤してみると、毎日、通勤に三時間も四時間も時間をとられて、いささか疲労を覚え、「こりゃ失敗をしたなあ」と内心、思ったとする。しかし、賽は既に投げられてしまったあとだし、家を売ろうにも買った値段では売れないし、現に借金返済に追われてまたすぐ引っ越しをするだけの金銭的余裕もない。仕事が遅くなったり、接待などで最終電車の時間をすぎると、家までタクシーで帰ろうものなら小一万円のお金が吹っとんでしまう。翌朝の混雑電車のことを考えたら、ビジネスホテルに泊まったほうがまだましという気になる。月に一ぺん、そういうことがあったのが、週に一ぺんになり、さらにもっと多くなると、単身赴任とあまり変わらない生活スタイルになる。そういうところまで追い詰められても、なお、惰性で生きている人が多いから、よほどのことでもなければ、郊外の家を処分して、通勤に便利な位置に住居を換えることができないのが普通である。
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