したがって本当に上手な時間の使い方がしたかったら、好きな仕事を探すことである。
恋人と一緒にいる時間を長くしたいばかりに、他に使う時間を切り詰めてしまうのと同じように、好きな仕事が見つかると、人間は他の時間をすべて犠牲にしても少しも惜しくなくなる。恋愛が人に時間の切り詰め方を教えてくれるように、仕事に熱が入ったら時間が足りなくなるから、しぜんに時間のやりくりが上手になる。だから時間のやりくりが先ではなくて、恋愛の相手になる仕事を探すほうが先である。自分の好きな相手を見つけるためには、いつも目を皿のようにして探さなければならないのと同じように、自分の好きな仕事にありつくためには決して時間と努力を惜しんではならないのである。
さて、ひと口に好きな仕事といっても、自分が本当は何が好きなのか、また本当は何に向いているのか、誰にもよくわかっているとは限らない。とりわけフレッシュマンの間は何もわからないのが当たり前で、それがわかるようになっていくのは、さきにふれたように、二十七歳から四十歳までの間であろう。私は人間が独立して自営に踏みきれるのは原則として四十歳までと見ているが、それは人間の仕事に対する好悪の感情はそのくらいの年齢までの間にはっきりきまってしまうからである。自分は机に向かってやる仕事に向かないとか、自分はセールスに向かないとか、また自分は人をたくさん使う仕事には向かないといったことは、仕事をはじめて三年か五年すれば大体わかってくる。しかし、自分はこんなことに向いている、こんな仕事なら夢中になれる、と自覚するためには、そういう環境におかれてみなければわからない。
実際に仕事をしてみて、見込みが立ちそうな目算が出てこなければ仕事が面白くなってこないから、本当に面白いと思うまで何回でも職場を変えてみる必要があるのである。
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