自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第27回
ワインの持ち込みを了承するお店とは

レストランがワインの持ち込みを許可するのは
どのような考えからでしょうか。
前にも述べたように、店としては仕入れの2倍、
3倍で売れるワインはドル箱のようなもの。
店が流行ってワインが売れれば、
ちょっと値の張るワインなら粗利が料理コース代をも
上回ることもしばしばです。
グラスワインにしても、結構な値付けで売りますから、
客が入ってグラスの回転が上がればかなり儲かります。

ところが、持ち込みを許可した場合は、
せいぜい抜栓料とグラスの使用料という名目で、
最高でも@5000円です。
良心的な店ならば@2000円で了解するところもあります。
抜栓もグラスへの注ぎも自分でやる、
マイグラスを持ち込むといっても持ち込み料は取られるでしょう。
これはいわゆるワインを買わないことに対する
営業保障のようなものなのです。
最高でも、1万円以下のワインの粗利しか得られない
「ワインの持ち込み」は店にとって
宝の山を手放すようなものなのですが、
最近は結構認める店が増えてきました。

理由は簡単。競争が激化して少しでも客を呼びたいから、
背に腹はかえられない、といった営業政策の他に、
「すこしでもお客さんに喜んでもらうサービスがしたい」
といった美談仕立ての理由がちょっと加わります。
開店早々の固定客を喉から手が出るほど欲しい時期の店は、
結構、後先を考えずにワインの持ち込みを了解します。
新しい店でなくとも、常連の客に対しては
渋々認めるところもあります。
でも、前者の場合は店が流行りだし
ワインが売れるようになってきたら、
利益率向上の重荷になるワイン持ち込み許可が疎ましく感じる、
利に聡い経営者がでてくるものです。
マスコミに持て囃されて流行り出した店に
より多く見られるのですが、
こういう場合、まず新しい客に持ち込みを認めなくなり、
そしてやがて許可していた昔からの客に対しても
拒絶をするようになってきます。
初心を忘れたというか、経営者の性格によって
スタンダードを変えてくるのです。
流行り廃りに関係なく、一度認めた持込を
ずっと継続し続けてくれる良心的な店もありますが。

逆に、既に流行っている店でも、
例外的には認めてくれる場合があります。
夫婦や家族の記念日に、バースデーヴィンテージのワインや、
思い出のワインを持ち込みたい、と粘り強く交渉すれば、
よほどの嫌な性格のシェフでない限り了解するでしょう。

では、ワインの持ち込みをどうやって交渉したらいいか、
また、お店に対するマナーはあるのか。
その詳細は明日以降に述べたいと思います。


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