自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第88回
ダイニング系の繁殖について その2
居酒屋とどこが違う

最近特に多い和食系のダイニングを思い起こしてください。
黒などシックな基調の配色の内装で、
大きめなカウンターや個室が特徴となっています。
見た目は派手でお金がかかっているかのような空間に、
黒っぽい服を着たホールスタッフたち。
カウンター内の厨房スタッフたちも、
一般に言う板前姿ではありません。

このように似非高級感を漂わせた店内ですが、
以外にも料理の価格は安いのに驚かされます。
単品、コースと色々ですが、
居酒屋価格とそんなに乖離していません。
ただし、料理はどちらかというと和風の創作系。
おいしい、まずい、の範疇を超えた、風変わりな物が目立ちます。
コストを落とすには食材の質を下げるのが一番。
そのかわり、それをシンプルにそのまま出したら、
粗悪がバレバレですから、かなりの加工をしなければなりません。
ベースは和食でしょうが、
韓国テイスト、タイテイストなど色々味付けに工夫を凝らして、
元の食材のポテンシャルをわからないようにしています。
厨房スタッフもアルバイト的な人を雇うことで
人件費を抑えているのでしょう、
レシピがあれば簡単に造れるものが多いのです。

つまり、一見豪華と言うか隠れ家風、
でも料理の中身はテイストが違うにしても居酒屋レベル。
冷静に判断されるなら、
今ほどダイニングが流行るはずはないと思うのですが、
この内装や服装に客は混乱させられているようです。

「ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション」。
ダイニング系ではない純粋なフレンチ、
次郎を模倣したカウンター、パリの店もまったく同じ造り、と
横川潤氏は言われていますが、
ではなぜにコックコートを黒で統一する必要があるのでしょうか。
あの赤や黒の配色も、「次郎」など鮨屋からヒントを受けて
ロブションが考え出したといわれる新しいフレンチ形態とは、
まったく関係がないものではないでしょうか。
新しいフレンチ形態に、
ダイニングのテイストが必要とは思えません。
パリの店も、実際の出資者は
ロブションではないのではないかと私は考えます。


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