自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第117回
人気シェフのお勧め店シリーズ その3
番外、グルメライター編

今まで2回にわたって、
人気シェフのお勧め店について疑問を呈してきました。
今回はちょっと番外といいますか、グルメライター編です。
たまたま、人気シェフの推奨店を色々な雑誌からまとめていたら、
坂井淳一氏、森脇慶子氏、大谷浩巳氏、梅谷昇氏の4人が
推奨店を述べ合っている去年のDIMEの特集記事を見つけました。
目的別に数店挙げているのですが、
いかにも当たり前の店、またはその目的に合うと
本気で思って勧めているのか、と
疑問に思われる店がかなりあります。
安直に取り上げたと受け取れる店が多いのです。

「接待の達人を気取る」
西麻布の「ゆう田」という鮨屋。
最近やけに雑誌などに露出が多くなってきました。
フードジャーナリストと親しくなったのでしょうか。
このわずか6席しかないカウンター鮨屋が、
本当に接待に向いているでしょうか。
隣客との間隔もせまく、
1席空けて座ることを前提にしていません。
地下には個室がありますが、鮨屋で階下の部屋まで握りを運ぶのは
それこそ「粋」ではないでしょう。
価格は接待用価格というのでしょうか、
かなりの額を請求されますから、
自腹では行きにくいのは事実です。
が、それは接待店並みの請求額の鮨屋というだけのことです。
ここへ客を連れてきても、
接待の達人といえるのか、私には疑問です。

その他、今更「福臨門」を接待用と推奨しても
新鮮味はありません。
オー グード ジュール、ぽん多(とんかつ)も
接待に向いているとは思えません。
「オー グード」は個人客、女性グループにあう店です。
唯一、和食で挙げていた「堀兼」は、
パフォーマンス性から一部のお客には喜ばれるかもしれませんが。

「クリスマスには二人でしっぽり」
いくら空いていて、
クリスマスシーズンといえど予約がとりやすいとはいえ、
「ラ リューン」を
クリスマスディナーに推奨していいのでしょうか。
あの喫茶店にも通用するであろう
シンプルな内装、什器、マダムのぎこちない接客で、
印象的な一夜は期待できません。
空いているだけで店を選ぶなら、
この時期、居酒屋や焼肉を推奨すればいいはずです。
大阪の、癖がある店主で有名な串揚げ屋「六覺燈」も
クリスマスには向いていないでしょう。
ここは東京の「つばき」に相当する、
ワイン代が不明瞭な店のはずです。一見には向きません。

こうして見ますと、無責任に推奨しているシェフも問題ですが、
ライターたちも真に読者のことを考えて
推奨しているとは思えません。
真に受けて訪問すると、
かなりのショックを受けることになります。


←前回記事へ 2003年9月12日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ