自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第150回
ホテルの店はやはりCPが悪かった、寿司「六緑」

ホテル内の料理店はCPが悪い、というのが私の持論です。
テナント料が高く、内装その他コスト増となる要素が多いので、
食材や職人の質を落とさざるを得ないですし、
客層が広いですから、
無難な味付けにしなければならないのも理由の一つでしょう。
特に、和食、更に絞れば鮨屋ですが、
採算を考えてか、どうしても大箱になりがちです。
当然、職人の質も一定せず、
私は特に「ホテルの鮨屋にうまいものなし」を
定説として唱えております。
今回もその典型的な店に当たりました。

場所は流行の六本木ヒルズの一角、
グランド ハイアット東京の寿司「六緑」です。
ダイニング系の和食屋を思わせるモダンな空間。
無駄なスペースのなか、
カウンターやテーブル席は贅沢に配置されています。
とても、鮨屋には見えません。
スペースから考えると、この倍以上の席数を取れるはずですから、
無駄な固定費を売値に転嫁しているのが見え見えです。

料理はお任せの場合は1万5千円、1万8千円の2種と
はっきり開示しています。
価格の違いは焼き物の有無のようです。
この店はホテルの直営なのでしょうか、
主人という人は居らず、
和食を掛け持ちする料理長が両店を仕切っているそうです。
鮨職人は出身店がバラバラ。つまり寄せ集めです。
和食も兼任していますから、料理長も鮨職人ではないのでしょう、
ツマミや握りの出し方に私は疑問を持ちました。

ツマミは4〜5種出てくるのですが、
普通の鮨屋のように1種ずつ出してくれるのではありません。
職人は、一種ずつサクから切り分けますが、
まな板にそれらを置いたまま次のネタに包丁を入れています。
そして、すべてのネタを切り分けた後で、
おもむろに大皿に盛り付けて一気に出してくるのです。
客側が2人、3人と多くなるほど
最初のネタに包丁を入れてから時間が経ってしまうので、
ネタの乾きなど問題がでてくると考えます。
皿や手間の省きを考えたやり方ですが、いかがなものか。
価格の割に傑出したものを感じないネタ自身に加えて、
職人の作業がこれですからよくおいしく感じるはずがありません。
握りもある程度のネタ数にまとめて包丁をいれ、
一気に握って出してきますから興ざめです。
カウンターなのに
テーブル席で「お決まり」を頼んでいるように感じました。

酒類もかなり高めの設定で、
1万8千円のお任せが〆て2万5千円を軽く超えてしまい、
CPの悪い最たる事例の一つと考えます。


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