自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第302回
「在日外国人が選ぶ、美味い店」特集は信じられる?

私は雑誌などの「人気シェフのお勧め店」特集をあまり信じません。
何回も述べていますが、
師匠や弟子筋の派閥、所属団体関係などから
互助会的な貸し借りで推奨する場合や、
深く考えず自分の店の近く、もしくは遅くまでやっているから、
行った事はないが良い評判を聞いたから、といったような
無責任なものまであるからです。

そして今回は「在日外国人が選ぶ、美味い店」特集(Pen)。
フランス、イタリア、スペイン、中華など
92店を各当事国の人が推奨しています。
特徴は「ラ ベットラ ダ オチアイ」など数店を除いて
現在の有名店や人気店があまり含まれていないということです。
外国人は予約が困難な店が苦手なようで、
「ベットラ」を推薦している人も
遅い時刻に入れるからというものでした。

「ダイニング」という言葉が店名にはいる店や、
埋没しかけている「エトゥルスキー」、
ボナセーラ系の「ビスボッチャ」、
これが世界でもっとも有名な店の料理の模倣かと驚く
「旬香亭グリル デ メルカド」など疑問な店も多いのです。

そこで私は考えました。
ただ在日外国人がすすめる母国料理店を
そのまま信じていいものなのか。
彼らのプロフィールをみてみると、食関係者はわずか。
ほとんどが一般事務職、作家や芸術家の方たちです。

逆のことを考えてみてください。
推薦人の経験や考え方を吟味せず、
パリやロンドン、ニューヨークに駐在している日本人に、
無作為に当地のお勧め日本料理店を
聞いているようなものではありませんか。
誰でも日本人ならば、和食、割烹や懐石の料理が理解できると
考える人は少ないはずです。

英会話スクールではないですが、
ネイティヴならば誰でも英語の先生に向いているといった考え方は
最近なくなってきています。
同じ事が「在日外国人のお勧め料理店」にも
当てはまるのではないかと私は考えます。


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2004年5月12日(水)

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