自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第304回
TOKYOの噂! 有名店の移転

派手なタイトル「TOKYOの噂!」に
思わず手を出してしまったブルータス(5/1号)。
内容のほとんどが
私自身にとってはあまり参考にならなかったのですが、
「東京の5人の大物シェフ、揃って移転計画中!」だけは
直ぐに目にとまりました。

その中で注目したのは「ル マンジュ トゥー」の谷シェフ。
この夏に麹町六番町に移転決定とか。
8000円コースのみに切り替えて半年近く。
かなり利益を上げての満を持しての都中心地への進出でしょうか。
フード・レストランジャーナリストとの親交が深いシェフですので、
移転前後には雑誌その他で
かなりのキャンペーンをうってもらえると思いますが、
肝心のCPはどうなるでしょうか。

牛込神楽坂とちがって、かなり地代が上がるはずです。
見栄や採算を考えてフロアも広くなるかもしれません。
そうなるとスタッフ数は増え、固定費支出は急増します。
当然、同じ価格では食材の質が落ちるでしょうし、
同じ内容なら価格をアップせざるを得ないでしょう。
どの道、CPが良くなる事はありません。

それよりも、牛込神楽坂は地方ではありませんが、
「中心地へ進出してきてうまくいった試しなし」の
定説に当てはまってしまうか、
果たして競合が多い地域に出てきて他店と差別化できるのか、
見物であります。
もともと私はこの店は
フード・レストランジャーナリストの過大評価の店と判断。
わざわざ都心に出てきてもらいたいとは思っておりません。
フードライターかジャーナリストかしりませんが、
北條芽以氏や関谷江里氏が以前すすめていた
「レストラン ラ リオン」。
彼女たちのおすすめでは珍しく当たりと感じたのですが、
新江古田にあるこの店こそ、
「ル マンジュ トゥー」が進出するより、
若干の値上げは認めても都心へ出てきてもらいたいと考えます。

でも、「ル マンジュ トゥー」は「ナリサワ」と同じように、
移転時期前後には、
フード・レストランジャーナリストの不自然なバックアップ、
宣伝垂れ流しで、千客万来となるのではないかと私は想像します。

その他の4人のシェフも、広めの店、
または東京へカムバック、分店を出すなど、
あまり一般客にとって良い方向とはいえない
移転計画と判断しました。

そのほか、「ラー」よりも痺れる「マー」だけが特徴の
「趙楊」もあの街場スタイルから、
新たに再開発される「交詢社ビル」へ
移転するとの話も聞きました。

彼らは、
中心地での先達のスターシェフの派手な成功をみてしまい、
我も我もとその欲望を抑えきれないのでしょうか。
店側の真摯な態度に期待したいものです。


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2004年5月14日(金)

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