自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第391回
残暑お見舞い申し上げます

7月の東京は、観測史上記録尽くめの暑さだったそうですね。
最高温度や最低の最高温度(紛らわしいですが)も
レコードだったと聞いていますし、
熱中症になった人も重症の方の半数以上が屋内だったということも
意外に感じたものでした。
このコラムが更新される頃は、
お休みをいただいて私は日本を離れていると思いますが、
このコラムをチェックしていただいている皆様、
この場をお借りしまして、残暑お見舞いを申し上げます。
残暑厳しいおり、
くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。

さてこれほど暑い時期、
さすがの私も赤ワインを飲む機会と量が激減しております。
さすがにフルボディの赤ワインは、
いくらクーラーをきかせた室内でも体が欲しません。
そんな時期、今回は世間を騒がす赤ワインより暑苦しい話題に
ちょっと触れてみようと思います。

皆さん、「オーナー」という言葉をどう定義しますか。
直訳は「所有者」といったものでしょうが、
良くも悪しきも今日本で一番有名な「オーナー」は
読売のナベツネさんではないでしょうか。
この暑いなか、あの暑苦しい顔、傲岸不遜な態度、
そして自分勝手な勘違い発言をTVが垂れ流すのは
罪というものです。
ただでさえ落ちる食欲が、まったくなくなってきますが、
今のマスコミを含めて日本ではこの「オーナー」と言う単語を
間違って使っているのではないでしょうか。
今日は料理業界にからめて、
プロ野球界のタブーにちょっと触れてみます。

よく料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちが使う
「オーナーシェフの店」というフレーズ。
しかし、本当に開店資金や回転資金を自前で融通しているシェフが
そんなに多いとは思えません。
例えばイタリアンの有名料理人である「ヒロ」こと山田シェフ。
青山や丸ビル、
最近は元「ラナプール」の地にまで出店してしまったようですが、
この「リストランテ ヒロ」チェーン店は
ある有名な出版社の社長が資金を出していることは
余り知られておりません。
フード・レストランジャーナリストたちも
事あるごとに山田氏を「オーナーシェフ」と紹介していますが、
実際にはただの「雇われシェフ」なのです。

そして「たかが選手」発言で物議をかもしたナベツネさん。
読売巨人軍のオーナーと言われていますが、
厳密にいうとオーナーではないはずです。
読売巨人軍という法人組織の株は、
確かに読売新聞社が所有していて、
ナベツネさんがその読売新聞社の社長だから
「オーナー」という呼び名の職についていると推測しますが、
実際彼は読売新聞社の「たかが雇われ社長」、
つまりサラリーマン社長に過ぎないはずです。

朝日新聞しかり、読売新聞しかり、
社主というか株を抑えている一族
(これが本当の意味でのオーナーではないでしょうか)は
別にいて、彼は商法上では
読売新聞という法人と経営面などで委託契約されている
一個人に過ぎないのです。
はっきり言えば、12球団のなかで真に「オーナー」といえる人は
ほとんど居ないのが現実です。
上場している会社、たとえばTBSの横浜や阪神などでも、
「オーナー」と言われながら
実際その会社の株を過半数所有しているはずがありません。
上場してしまえば、創業一族と言えども株の所有率は薄められ、
真の意味で「オーナー」とは言えないはずなのです。
未上場会社である場合に可能性はありますが、
新聞社は社主と経営側が分離していますので、
読売だけでなく中日も経営陣の中でオーナーは居ないはずです。
このほか、プロ野球球団は、社長のほか代表という人も居て
どちらに権限があるのか紛らわしい。
普通「代表」といいますと、商法上の代表取締役を指し、
そのものずばり法人を代表する地位にありますが、
球団では違うようです。
世間とまったく乖離した組織、役職を付け合っているのですから、
世間、ファンの動向がわからない人がいるのも
当然かもしれません。

話は戻りますが、オーナーといわれている彼らは、
勝手に自分たちで「オーナー」という呼び名の職を付け合って、
内輪で互いに呼び合って陶酔していると言ったら
また噛み付かれるかもしれませんが、そこは彼らも人間です、
「オーナー」という職名に酔って、
どんどん勘違いしていってしまったのでしょうか。

テレ朝の早朝までやっている討論番組で、
プロ野球界から門前払いされた「ライブドア」の堀江社長が、
ナベツネさんらを
「サラリーマン社長だから
雑巾掛けを経験していない人間を認めない」
と発言していましたが、
この私には一番重要であると思う
「オーナーではなく雇われだ」というこの言葉に
続いて発言した出席者は居ませんでした。
TV業界でもこの「オーナーもどき」問題はタブーなようです。

最終的には役員など経営陣を選択できるオーナー、
つまり株主達の意向が反映されなければ
真の資本主義ではありません。
料理店もその営業方針は、
オーナーの意向が反映されてしまうわけで、
マスコミが「雇われシェフ」を「オーナーシェフ」のごとく扱って、
その発言を紹介していますが、
組織が大きくない料理店では
中小企業と同じくオーナーの意見しか通りにくく、
あまり意味のあることとは思えません。


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2004年8月16日(月)

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