自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第405回
ワインの諸々 その28
ブショネとテースティング

またまた読者の方からのお便りに対する私の回答です。
以前のコラムで使用した言葉が、
テクニカルタームすぎて一般読者にはわからない、
といったご指摘を受けました。
「ロマコン」や「ブショネ」といった単語です。
「ロマコン」はブルゴーニュの最高峰特級畑のワイン名
(畑名でもある)「ロマネ コンティ」の略でして、
あまり品の良い言い回しではなかったかもしれません。
反して「ブショネ」も
ちょっと難しい言葉のように受け捕らえがちですが、
これは少しでもワインを飲まれる方ならば、
誰でも遭遇する重要な問題なのです。

最適な訳語はわかりません。
簡単に言いますと、カビ臭など不快な臭いと、
飲んだ際、喉奥に苦味のようなものを感じる状態のワインのことと
考えてください。
保管状態の良し悪しによって健全に熟成したワインや、
ヘタッてしまったワインとはまったく別物でして、
保管状態とは関係がないと言われています。
ワインをボトルに詰めて、コルクを打栓して
キャップシール、ラベルをはって出荷できるワインは完成しますが、
この際の、コルクの洗浄や乾燥に問題がある場合、
たとえば、洗浄液がとれていない、
またはしっかり乾ききっていない、などで
雑菌など不純物が付着したまま
打栓されてしまったワインにおこると言われております。

科学の発達した現在でも、天然のコルクを使用する以上、
数%の確率でブショネのワインは存在するそうで、
あの高額ワインの「ロマネ コンティ」でさえ
ブショネのものはあるはずです。

お店でワインをボトルで頼んだとき、
ホスト役のグラスにちょっと注がれて味見をするよう言われますね。
あれは別に、思ったのと違った味だとか、保管が悪くヘタッている、
といったものをチェックするのではなく、
ブショネなのかどうかをチェックするわけです。
ソムリエが客より先に1杯飲んでいるのも
そのブショネのチェックなのです。
私の知る限り、堂々と店側にワインの交換を要求できるのは
この「ブショネ」のワインにぶち当たったときだけです。
私も数回、店で当たったことがあり、
交換を要求したことがあります。

勿論ブショネの原因を考えれば、
ボトルで頼んだワインだけでなく、店側のチェックが甘い、
もしくは誤魔化しにより、
グラスワインでも遭遇する可能性はあります。
数回の経験がありますが、店側に申し出れば、
新しいボトルを開けてグラスに注ぎなおしてくれるはずです。

「ブショネ」という単語は聞きなれないかもしれませんが、
ワインを少しでも飲む人には、身近な問題なのです。


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2004年9月5日(日)

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