自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第424回
友里征耶のタブーに挑戦 その16
築地での仕入れ具合でコース内容が変わる訳

都内の最近の和食では、
コース制をとっている店が主流となっています。
コース制の店でも営業形態は2つに分かれます。

1つは、完全1コース制の店。
誰がきてもまったく同じ皿数で同じ料理だけを出す店です。
「分とく山」や「櫻川」のように
最初から1コースのみという店の他、
あの「麻布 かどわき」や
最近イケメンで人気の「料理屋 こだま」のように、
流行ってきたのでより仕入れや手間の効率を上げるため、
そして客足が落ちなければ売上も増加するという一石二鳥を狙って、
一番高いコース価格だけにしてしまう強気の店もこれに入ります。

もう一つは、
同じく料理を限定することによって、仕入れや仕込の無駄をなくし、
経営効率をあげるのが目的だと思いますが、
客層の範囲を限定したくない為か、
価格差をつけたいくつかのコースを設定している店です。
3〜5千円の値差をつけたコースを常備することにより、
懐具合の違う客層に
幅広く対応したいという思惑からだと考えます。

いずれにしても、
予約時にどのような料理、食材がでるかを
はっきり言う店はほとんどありません。
数コース制の店ではその価格の違いを
「皿数やボリュームは同じで、食材が違う」とだけしか説明しない、
いい加減な店が多いですが、
我々客側もまったくそれに何の疑問も抱かず
値段だけで頼んでしまうという情けない対応をしています。
「一番下のコースは何だから、真ん中にしよう」とか、
「接待だから一番上にしよう」といった
安直な判断が多いのではないでしょうか。

店側の言い分としては、
「その日の築地で都度良い食材を選ぶので、あらかじめわからない」
といった言葉を聞きます。
和食コースとしては、造り、華であるお椀、
そして焼き物などの食材が重要だと思いますが、
私はそんなにコース毎の差がないのではないか、
また、高級料亭は毎日築地に行っていない、
お決まりの中卸に持ってこさせているはずだ、
といった疑問を投げかけた事がありました。

それらに対する完全な答えではないですが、
先日、料理店関係の読者の方から、
料理人が毎日築地に行くメリットを教えていただきました。

質の良い高級食材でも、
豊漁で多く築地に入る場合がままあるそうです。
高級料亭や常連の高額店に優先的に卸していっても捌けきれず
余ることもあるようで、
ある時間になるとお手頃価格に仕切りなおして
売り出すことがあるそうです。
デパートやスーパーでの「タイムサービス」
もしくは「閉店間際のディスカウント」と
同じようなものでしょうが、毎日通うことにより、
相場より安く仕入れる倹約が出来るというのです。

仕入状況は毎日異なりますから、
その日にならないとサービス品の食材はわかりません。
少しでも安くて、できれば良いものを選びたい店としては、
前日以前には教えたくとも
提供する食材を教えられないのが現状なようです。
勿論、良い食材ではなく、
単に安く売り出す食材を買うためにだけ
毎日築地に行っている料理人もいるでしょう。

よく雑誌や料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちが
「毎日築地へ行っている姿勢」を
料理人の褒め言葉に使っていますが、
実態は彼らの仕入コストの低減の手段であると言った方が、
的を得ているのではないでしょうか。


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2004年9月24日(金)

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