自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第450回
友里征耶のタブーに挑戦 その20
どちらが優れているのか、新そばと旧そば

秋口になりますと、高級蕎麦屋では新そばを全面に出してきます。
中には、立ち食い蕎麦のような店でも「新そば入荷」と
のぼりを立てている店もあるくらい、
この時期の「新そば」は人気があるようです。

蕎麦の魅力の一つは香りだと思います。
新そばは、確かに香りがはっきりしていて
それはそれで魅力的であります。
夏場に店を閉店する蕎麦屋が浜松町近くにあったと聞きました。
年を越え、春を越えたら、蕎麦の香りがなくなり
そんなものは蕎麦ではないという一種の矜持からなのでしょう。
変わり蕎麦といって、柚子や胡麻、
中には私は好きですがトマトまで練りこむものがありますが、
もともとは香りがなくなる時期の蕎麦の
救済のために考え付いたといった話も
昔聞いた記憶があります。

しかし、敢えてタブーかもしれませんが言わしていただくと、
新そばとして香りが強いだけで
本当に旨みがでているのだろうか、と。
オリーヴオイルも
フレッシュなほど良いという一般的な話もありますが、
半年ほど寝かせた方が良いと言っている
イタリアンのシェフもいるくらいです。
蕎麦も何でも新そばというのではなく、
やや角が取れてきた頃の蕎麦も
それはそれで美味しいのではないかと考えます。
夏場の蕎麦には確かにあまり魅力を感じないのですが、
年を越えた春先でも、おいしい蕎麦屋ならば
充分旨みのある蕎麦に出会う事が出来るはずと考えます。

烏賊を除いた魚類、肉類なども
新しいよりもいくらか寝かせた方がうまいという説が
一般に浸透してきました。
生簀料理屋が苦戦している理由です。
新しければ新しいほどよいのは、
松茸、白・黒トリュフなど香り命の茸ものくらいでしょうか。
新しければ良いというものではなく、
昨日のコラムでも述べましたが、
手打ちも新そばも
それがすべてに勝るというものではないと考えます。


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2004年10月20日(水)

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