自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第467回
小さくて高い上海蟹、中国飯店六本木店

上海蟹の季節になりました。
最近は街場のような中華でも扱っているようですから、
その人気は高いのでしょう。

しかし10何年も昔の頃は、
上海蟹といったらまずこの「中国飯店 六本木店」が
有名だったと記憶しております。
昔から混んでいましたが、
二人からでも適度の量で組み立ててくれる
お任せコースは1万円前後とその場で交渉次第、
この時期はそれに上海蟹を加えても
リーズナブルな価格と思っていたので良く通ったものです。

しかし、二子山一家やサッチーなどで有名になったのか
店が荒れてきたような気がして訪問を控えていたのですが、
自分では今期初物の上海蟹を食べるために久々に訪問しました。

予約を入れたのが正解だったのか、
相変わらず満席なのに驚きました。
3代に渡る家族連れなど富裕層に見える客で一杯です。
昔からの固定客が離れていないのでしょうか。

未だにコース価格を相談できるシステムが残っているか
不安だったので、今回は単品で注文。
ほとんどの客が頼んでいる上海蟹は
1匹5500円くらいと昔より値上がったようです。
あまり特徴のない凡庸な料理の後、
でてきた上海蟹はやはり昔と同じで小ぶりなものでした。

最近はルートがよくなったのか、
かなり食べ応えのある大きさの蟹を出す店があります。
以前のコラムで取り上げた「シェフス」や
勿論「福臨門」もその店ですが、
値は上がったのに相変わらず小さい、
一口で食べきれるよう、剥いてもらった上海蟹に
いささかがっかりしました。

ミソとタマゴの味を除けば、
この大きさではまったく身自身の味を感じ取れません。
これであっという間に5500円とはかなり贅沢な食事でありました。

この店は自分で剥かなくてよい便利なシステムなので、
お年寄りにも受けているのでしょう。
量も必要ないかもしれません。
しかし、季節物とはいいながら、
その大きさを含めた質にいささか疑問。
次の再訪はかなり先になることでしょう。


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2004年11月6日(土)

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