自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第513回
料理評論家、フード・レストランジャーナリストへの質問状
その3
レダックとジーシェフ

私は読者の方とメールでよく情報交換をさせていただいております。
そのなかで先日、ある方から次のような情報をいただきました。
「天敵である犬養裕美子さんが所属している
レダックという会社の前田社長は、ジーシェフという会社の取締役。
そのジーシェフは、
料理店業界と持ちつ持たれつのズブズブの関係なので、
犬養さんが飲食店をシビアに批評できるはずがないのでは?」
というものでした。

犬養さんがレダックに所属していて、その前田社長は元編集者。
今はカメラマンとしても
犬養さんと二人三脚の活躍をされているのは知っていましたが、
ジーシェフのHPには確かに取締役として
前田氏の名前が載っておりました。
飲食業界へのメニュー開発支援
およびコンサルティングなど
結構派手に色々と飲食関係者に営業をかけているようで、
シェフや飲食店とは、
イヴェントや料理教室などでも関係があるようです。
かなり有名なシェフ(15名)や
料理店(30店以上)がHP上で紹介されてもいました。
この業界とかなり取引があるようです。
ジーシェフと飲食店業界とは
金銭取引があるのは想像するに難くありません。

その取締役が代表者であるレダック所属の犬養さん。
とりようによっては、
飲食店業界とズブズブの会社の子会社所属の立場で、
レストランジャーナリストと称していいのでしょうか。
公平な分析ができるのでしょうか。
検証や批判精神が必要なジャーナリズムにおいて、
その対象業界と金銭的結びつきがあるかもしれない立場で
ジャーナリストと名乗れるのか。

私は早速渋谷の法務局へ出向き、
面白い事実を知ることができました。
ジーシェフのHPでの住所、
レダックが公表している住所で請求しても
この2つの会社の謄本は出てこないのです。
色々と職員の方とのやり取りとご協力で、
この2社の名前の会社は、
公表しているのとはまったく違う地番である、
元代々木にあることがわかりました。

頭の回転が鈍い友里でもその時点でピンときたのですが、
果たして、ジーシェフとレダックは
元代々木のまったく同じ住所・地番に登記されていたのです。
偶然ならば、何という奇跡的な一致でしょうか。
勿論、レダックは前田氏一族の同族会社のようですが、
犬養さんも
きっちり取締役として登記されていたのには驚きました。
わざわざ同じ渋谷区なのに、
登記住所と違う住所をこの2社が公表している不思議。
同じ住所とわかるのを避けたいからでしょうか。
普通なら登記住所を隠す必然性はないと考えます。

犬養さんが店やシェフ、飲食店など業界を雑誌で煽ってから、
この2社がイヴェントや企画物、
コンサルなどで取引関係を結ぶのか、
先にこの2社がコンサルや企画物、
イヴェントで契約、取引してから、
犬養さんがその契約先を雑誌で煽っているのかはわかりませんが、
これではまともなジャーナリズムに基づいた
取材や評論ができるはずがありません。

たとえ同じ住所、社長は取締役に登記されているが
まったく独立した別会社だとの言い訳をするかもしれませんが、
肝心のレダックの謄本の目的欄には、

8.飲食店、販売店、・・・などに関する
  情報の収集、販売及び経営コンサルティング業務、
9.料理店、レストラン、喫茶店等の経営

が挙げてあります。

コンサルティング業を目的とするということは、
見返りに金銭を受け取るはずです。
加えて同じような飲食店を経営しようとしている会社の取締役が、
他店をシビアに評価、批評してしまって
集客に影響することをしてしまっては、
コンサルの契約を取れません。
犬養さんは、ジャーナリストとしてシビアに活動してしまうと、
レダックの営業の足を引っ張ることになるのです。

つまり、商法上、取締役に求められている
「会社への忠実義務」に反することになります。
よって、商法に違反せず
会社に忠実に取締役としての業務を遂行するには、
たとえ事実に基づいているとはいえ
飲食店やシェフ、板長を怒らせる、
不快にさせてしまう取材や批評はできず、
真実から目を背けて
ヨイショ記事を書き続けなければならないのです。
ジャーナリストの基本である検証精神を捨てて、
ただその業界の都合の良いことだけを垂れ流す、
レストラン・スポークスマンが、
ここに出来上がってしまう構図があります。

ジャーナリストと自称しながら、
その業界のコンサルをやる会社の取締役。
この相違反する矛盾、この2足の草鞋は履けないはずです。
しかし、マスヒロ氏と同じく、
レストラン・ジャーナリストの看板を下ろし、
スポークスマンと改称するのならば問題はなくなります。

読者の方からのご意見、ご指摘をお待ちしております。


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2004年12月22日(水)

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