自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第554回
ミシュランは回収していますよ、犬養さん

1月29日付けの読売の朝刊を読んでいたら、
7面に面白い記事をみつけました。
「ミシュラン格付け談合!?」という見出しですが、
俗に言うところの「談合」という意味ではなく、
「癒着」といった意味合いで使われたようです。
2005年ベネルスク版のミシュランで、
印刷の時点で開店していなかった店に
「おいしんぼマーク」をつけていたことが発覚し、
5万部の回収を決めたとのこと。
最近は「裏ミシュラン」といった
元調査員が実態をばらす暴露本がでるようになり、
その権威にいくらか?がついてきた矢先のこの失態ですから、
信頼回復はかなり遅れそうです。

でもさすがは「ミシュラン」。
オープン前に勝手に評価付けしたことが
発覚したためではあるでしょうが、
潔くその回収を決めたのは、
レストランガイドとしての矜持を持っているからでしょう。
そこで私が瞬時に思い出したのが、
末はミシュランの調査員になるのが夢と語っていた、
レストラン・ジャーナリストの犬養裕美子さんの
「東京ハッピー・レストラン」という本です。
2003年12月18日が初版のこの本、写真を多用した
綺麗なカラー刷りで、編集、校正、校閲に加えて
色あわせなど手間がかなりかかるはずですが、
オープンが設備の関係で遅れてしまい
その年の11月下旬になってしまった
「レ クレアシヨン ド ナリサワ」をなんと、
いの一番に最初の2ページをつかって
べた褒め、宣伝していたのです。
彼女流の何だかわからない採点方法で
ランク付けをしているようですが、
明らかにこれはフライングであると
私は以前のコラムで問題提起しました。

カラーでない本でさえ、
脱稿から出版まで優に1ヶ月はかかります。
まして、カラー写真入りの本です。
とても11月下旬のオープン後に取材してから
変な採点法で評価しランク付けを決定、
その後原稿をかいていたら、
3週間弱で出版できるはずがありません。
この店の部分だけ残して既に本造りを先行し、
「ナリサワ」はオープンしてから取材して急いではめ込んだ、
との苦し紛れの言い訳をするかもしれませんが、
訪問した具体的な日時や証拠を挙げられるでしょうか。
仮にそうだとしても、いの一番にしかも2ページ使って取り上げる
「ページ割り」をとっくの昔に決めていたことになります。
本を出版するのは、そのページ割りが重要なのです。
11月下旬のオープン時にはすでにページ割りが終わっていなければ
12/18に出版は不可能なのです。
つまりオープンしていないのに、いの一番のお勧め店として、
巻頭を飾るトップの店に最初から決めていたのですから、
ミシュランの「談合」と同じです。
いくら成澤氏と親しいといっても、
肩入れしすぎでジャーナリストの名が恥じると思わなかったのか。

片や回収、片や回収どころかTV露出も増えての八面六臂のご活躍。
ジャーナリストと自称しているのですが、
彼女はまったく「ジャーナリズム」なる精神は
持ち合わせていないことがわかると思います。

マガジンハウスなり、
彼女が取締役になっている所属会社「レダック」なりに、
また本人に今回の「ミシュラン回収騒動」について
コメントを求めてみたら、どう回答するでしょうか。
ノーコメントなのでしょうね。

TV局というか放送会社の方針やコンセプトが
今問題になっております。
契約しているTBSはどう判断しているのか、
それとも彼女の存在やその本自体が
ミシュランと比べたらまったく些末なことで、
問題にするまでもないということなのでしょうか。


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2005年2月14日(月)

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