自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第578回
鰻屋ではなく焼肉屋のタレについて

鰻屋のタレは代々秘伝で門外不出、すこしずつ注ぎ足しながら
同じ味を保っていくと聞いたことがあります。
つまり老舗と言われる鰻屋のタレは、
代々受け継がれて同じ味をキープしているといことでしょうか。
確かに店によってタレの味は異なります。

しかし最近ある会合で、
流行っている焼肉屋のタレについての講釈を聞きました。
客で溢れかえっている店は、
皆、少しずつタレの味を変化させているというのです。
同じ味だと飽きられてしまい、客が来なくなる。
つまり、常連客にもわからないように変化をつけていき、
客を逃がさない戦略だというのです。
なるほど、と思いました。
これは聞いた話ですが、昔、老舗のしゃぶしゃぶ屋が、
自慢のゴマダレを瓶で売り出したところ、
店に来る客が減ってしまって、あわてて店用と味を変えた、
というのを思い出したのです。
タレさえ買えれば、家で充分ということだったのでしょう。
しゃぶしゃぶは、タレ以外、肉質の違いはあるでしょうが
他に付加価値はあまりありませんから。

ではなぜ、鰻屋のタレは変わらないままなのか。
常連でも焼肉よりリピートする回数が少ないので
飽きがこないものなのか。
しかし、昔とは環境や産地の違いで
鰻自身の味が変わってきているのではないか。
江戸前という語源だった鰻ですが、
野田岩、尾花をはじめほとんどの店では養殖物。
天然でも四万十川など地方物が有り難がられる時代です。
環境も変化しているはずで、
昔とは味わいが違ってきているはずなのに、鰻のタレは不変。
またまた友里征耶が突っ込みたくなる疑問点であります。

鰻は焼肉と違ってタレに左右されるほど繊細なものではないのか、
タレなど関係なく、天然か養殖かもほとんど関係なく
誰でも「おいしい」と思う食材なのか。
でもそうだとしたら、店の優劣、違いはなくなりますね。
そこそこのレベルの鰻を使っていれば
どこでもおいしく食べられる店側も客側にも便利な食材。
私はそんなところだと思っております。


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2005年3月10日(木)

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