自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第582回
友里征耶にはじめてきた「コンサル依頼」

今年はじめだったでしょうか、
このコラムを読まれた不動産会社の飲食店担当の方から
ある相談を受けました。
自社ビル内で自主経営している飲食店の集客が芳しくないので、
リニューアルしたい。
ひいては訪問して気づいた点など
色々な意見を聞きたいとのご要請でした。

世間的にほとんど認知されていない友里に
わざわざ声をかけていただいたこと誠に有難く、
また「これが噂の『コンサル業務依頼』かー」と
うれしく思った次第です。
先方の条件として、

1、コラムなどで取り上げてもらわなくてよい(宣伝しなくてよい)
2、コンサル料を支払いする
3、取材費(食費)は自腹でなく店持ち

というものでした。

店評論をするものがコンサル依頼を受け、
その店を雑誌やTVに取り上げるのはいかがなものか、
というのが私の主張でありますから、
コラムで取り上げなくてよいという条件がありましたので、
とりあえずお受けすることにしました。
勿論、自腹取材がウリな友里、
顔が知られることを避ける意味でも、
その店へは完全覆面取材、
そして店批評とコンサル業の併用はおかしいので、
あくまで無償でのお手伝いという形で、
謝礼は丁重にお断りさせていただきました。
つまり、昼夜2回うかがったのですが、
連れの分も含めて私の完全支払い。
初めての依頼でうれしかったこともありましたが、
完全な出血サービスの初仕事となりました。

このお店の業態やジャンルなどは
特定されるのを避けるため公開できません。
確かに、立地的にはあまり恵まれないとは思いましたが、
コストと料理内容のバランスが確かに悪く(いわゆるCPが悪い)、
ターゲットとする客層も違っているのではないか、
広く浅くの料理内容でコンセプトがはっきりしない、
など気づいた点をざっくばらんにレポートさせていただきました。
要はリニューアルなど目先の修正では難しいのではないかと。
結果的には一端店を閉店して、
新規にやり直すとの結論をいただきましたが、
私のような者の意見を参考にしていただいて嬉しいやら、
なにか心配やらで、複雑な思いでした。

自腹でどちらかと言うと一般客側にたった厳しい主張をし、
宣伝をしないと明言しているこの友里にでも
「コンサル依頼」が来てしまうという事実。
店宣伝口調の紹介文を得意とし、
コンサル業務も堂々と打ち出して
自分の雑誌やTVで店を取り上げることに
なんら抵抗感を持たない既存の自称料理評論家、
フード・レストランジャーナリストたちへは
かなりの依頼(雑誌などでの宣伝を期待して)が舞い込んでいると
想像するに難くないと思うのは私だけでしょうか。

しかしこういうアドヴァイスをさせていただくと言うのは、
たとえ持ち出しでも大変楽しい経験でした。
そこで考えました。
アンチ友里連合が結託して友里にコンサル依頼の要請を出し続ければ
簡単に友里を廃業に追い込めるのではと。
持ち出しで取材を続け、
しかもコラムに書けないのでは友里征耶としてやっていけません。
ネタもなくなります。
お店や料理人の方たちも、
なんだかんだと批判するよりコンサル依頼を出した方が
友里にダメージを与える事ができるかもしれませんね。


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2005年3月14日(月)

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