自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第596回
高すぎるのではないか、最近の白・黒トリュフ

数ある高級食材の中で何が一番高いのでしょうか。
鮨ではやはり鮪でしょう。
近海物ならば店の仕入れベースで、
キロ2〜4万円の範囲であると思います。
中華は熊の掌とか、鹿の生殖器など色々レアなものがあります。
流通はほとんどされておらず
価格はあってないようなものでしょうから除外しますと、
和食、フレンチ、イタリアンで重量単価が高いのは、
キノコ系だと思います。

和食では「丹波のマツタケ」。
上物は店の仕入れベースでキロ10万円前後だと聞きましたが、
小売、特に百貨店などになりますと
倍以上で小売するようですからかなりの高額品です。
しかし、それよりも高いのが、
フレンチやイタリアンで使われる
「黒トリュフ」、「白トリュフ」です。

ボジョレーヌーボーには、
毎年「今年の出来は非常によい」
といった宣伝文句がついてきますが、
白トリュフに毎年ついてくる卸側の文句は
「今年も不作で値が上がってしまっている」です。
私はここのところ毎年10月から11月にかけて
「白トリュフ料理」にバローロというワインの古酒を合わせるのを
楽しみの一つにしておりますが、
ある年は「産地が洪水で供給不足」、
次の年は「日照がつづいて数がない」、
またあるときは「雨が多すぎて・・・」など
なんだかんだ理由をつけて
毎年上がっていってしまっているようです。
雨が降っても日照でもだめなら、どんな天候がいいのだ、と
日本の一般客が声を上げてもまったく効果はありません。

私が知る限り、
以前はキロ20〜30万くらいだったと記憶していますが
(昔はもっと安かったでしょう)、
昨年末のシーズンでは、読者のシェフの方は、
最初業者からキロ80万くらいとふっかけられたと聞きました。
最終的には50万円前後が実質価格だったと思いますが、
それでも一欠片が100グラムとすると5万円!
50グラムでも2万5千円。異常な値付けです。
「黒トリュフ」はそんなことはないだろうと思っていたのですが、
今年「黒トリュフ」尽くし料理で有名なフレンチのシェフから、
キロ20万だと聞きました。
他の店で確認しましても上物なら
18〜20万くらいとのことでしたから、これまた異常な価格です。

「黒トリュフ」は知りませんが、
「白トリュフ」は実際日本へのルートが2つくらいしかないとか。
インポーターから卸、そして納入業者を経由して料理店、
といくつもの会社が途中に介在しております。
各中間業者のマージンがどれほどのものなのか、
私にはまったくわかりませんが、
現地の出荷価格はそんなに高くはないと想像します。
私は仕事の都合上、この旬の時期に
イタリアはアルバ近辺へ行ったことがないのでわかりませんが、
知人から聞いた話では
「白トリュフ」はマルシェのようなところで
観光客でも買えるようでして、
料理店でもケチケチせずふんだんに振り掛けてくれるとか。
「黒・白トリュフ」の適正価格を実現するには、
ルートを増やして競合させ、
中間業者を少なくしてシンプルにしなければならないでしょう。
そうでなければ、
「原油価格が最高値をつけたから」、
「雨も日照もなかったから」、
「イタリア国内での消費が拡大した」、
「白トリュフは毎年エスカレするものだから」
とか色々な理由をつけて
今後もどんどん値上げてくるんではないでしょうか。

話はずれますが、昨年末の「丹波のマツタケ」は
台風など雨が多くて旬の時期が短く
和食店も商売しにくかったようです。
しかも、雨が降った後だと水気で重量がましてしまい
実質単価が上がってしまう、とある主人のボヤキを聞きました。
椎茸以外に、マツタケ、トリュフで
質の劣らない養殖物の開発を期待したいですが、
そうすると有り難味がなくなるか、
もしくは天然物がもっと高値になるかもしれません。


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2005年3月28日(月)

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