自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第662回
論点が違うか、喫煙・禁煙論議

先日、すすめられて行った店が「喫煙可」でがっかりし、
その他色々と気づいた点を店にメールしたら、
経営者がすぐ1階、2階で分煙を決断、
いずれは「完全禁煙」を目指すといった迅速な対応に
感心したとの話を知人から聞きました。
西麻布の「豚組」というトンカツ専門店でのこと。
イベリコ豚のトンカツまで用意することで最近噂の店でもあります。
私は1回しか行っていないので、
店そのもののコメントは後の機会に譲りますが、
その決断の早さには感心しましたが、
この禁煙問題は店側にとってそんなに難しいことなのでしょうか。
以前あるオーナーシェフの方からメールをいただきましたが、
「完全禁煙」にしたら結果、客は増えたという内容でした。

この喫煙か禁煙かを論議する際、
いままで交わされている論点は
ずれているのではないかと私は考えます。
禁煙派は、タバコを吸うと味覚が鈍る、味がわからなくなる、
よって喫煙料理人は駄目だ、という内容と、
健康問題を前面に打ち出します。
喫煙派は、タバコを吸っても味覚は衰えない、
喫煙者でも最高の舌をもった料理人はいる、
という反論と喫煙の自由を訴えます。

味覚が優れているかいないかは、
抽象的なことで絶対評価できません。
俺の舌は最高だ、と胸を張って言われてしまうと、
その反証をだすことは難しい。
言った者勝ちで、よく料理評論家やガイド本著者、
ライターたちにもこう言い放つ人が多いようです。

しかし、私はタバコの問題を論じる時、
健康問題が一番だと思いますが、
舌がどうだ、味覚がどうだ、というのは
抽象的で個人差もあり数値的に証明できませんから
無駄だと思います。
現に、タバコを吸わなくても味覚が鋭くない人もいるでしょうし、
お腹一杯になればいいと気にしない人もいるでしょう。
料理評論家、フード・レストランジャーナリストたちでも、
味覚は確かなのか、と思えるほど
変な店をヨイショしている人が目立つくらいですから。

私はタバコにの関しては、味の変化を問題にするべきと考えます。
健康問題は、「俺の勝手だ」、
味覚能力では「俺の舌は大丈夫だ」では話は進みません。
しかし、タバコを吸わないときと、吸いながらの時では、
料理やワインは必ず味わいが変わると思います。
吸っている人は、まず吸わないでワインを飲んでもらいたい、
または鮨や刺身、お椀を食してもらいたい。
そして、いつものようにタバコを吸いながら
同じものを口にいれていただきたい。
感じる味わい、料理の印象が異なるのではないでしょうか。
特にワインなど、どんな人でも顕著に感じることと思います。
反対に、タバコを吸わない私が
無理に1本ふかしながら同じようなことをしましたが、
感じる味わいは当然変わりました。
どちらが純粋に料理、ワインをおいしく感じることができるか。
結果はわかっていると思うのですけど。

舌の能力ではなく、感じる味わいが変わるという事は、
タバコを吸う客と吸わない客に対して
調理を変えなければならないのではないかと。
吸う客には、シェフや板長はタバコを吸いながら味見をして調理、
吸わない客には口をゆすいでから調理。
じゃ、同じ卓で吸う人と吸わない人がいた場合はどうするか。
つまり、もとから喫煙者、禁煙者の両者に満足する
料理やワインを提供する事は不可能だと考えます。

喫煙者でも
おいしい料理をそのままおいしく感じて食したい
と思う人がいるのではないでしょうか。
要は、タバコと料理とどちらを楽しみたいか。
ウエートを置くかです。
タバコは人に迷惑をかけなければ自宅でもいつでも吸えますが、
おいしい料理は店に行った時しか味わえません。
その際の1時間、2時間くらい我慢できるのではないかと考えます。
わざわざおいしい料理やワインの足を引っ張るタバコ。
わざわざ料理をまずくしてまで食べたいものなのかどうか。
元からおいしくない料理は関係ないかもしれませんが。

またまた差別だと言われるかもしれませんが、
居酒屋や焼肉以外、鮨屋、和食、フレンチ、イタリアンなどで、
タバコを吸いながら食べ飲んでいる人は、
知的に見えない、味がわからない人、
みたいに見られる可能性が大だと思うんですけど。

「完全禁煙」の店がもっと増えてもおかしくないと思うのですが、
それが出来ないのは、客が減るといった変な幻想を抱く経営者か、
経営者・料理人が喫煙者と言うことではないかと思います。
自宅でもおいしい料理が食べられるというならば、
喫煙者は自宅でどんどん吸って食べていただき、
外食を辞めていただきたいと私は考えます。


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2005年6月2日(木)

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