自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第709回
「食通に選ばれし気鋭の新店」について

現在発売中の「東京情緒食堂」では、
自称フードライター・フードジャーナリスト、
自称グルメ通の方々などの、
今年前半オープンしたお勧め10店という特集が載っております。
題して「食通に選ばれし気鋭の新店」。
今年鮮烈にデビューした来栖王様はじめ
7名の方がランク付けしているのですが、
各人それぞれの特色を出した推薦となっていると感じました。
今日は彼らの店推薦を友里流に簡単に斬ってみたいと思います。


まずは王様、
来栖けい氏

おお、ついに顔のほとんどが写真にでています。
「シュマン」など
個人的?思い入れの強い店をセレクトしているのが特徴ですね。

すずきB氏
最近この手の企画に露出大です。
しかし、出版側は彼に何を期待しているのでしょうか。
いまさら誰もが知っている「アザブハウス」を
イニシャルで秘密めかして紹介するのは業界人のセンスとして?
単なる旨くない料理を、
ボエムのようなバイト的スタッフが造っている店、
23時間オープンがなかったらまったく存在価値はないでしょう。
食後感は24時間営業のファミレスとたいして変わりません。
他のライターたちが挙げている
代々木上原の四川料理屋もセレクトしているので、
この方面の人脈はあるようです。

小山薫堂氏
何が本業だかわからない氏でありますが、
とにかく店や料理人に感情移入しやすいタイプ。
さとなおさんと同じく、マスコミ関係で食べていますから、
味の素など大手食品会社などには歯向かえないでしょうね。
ヨイショしか彼の辞書にはありません。

大谷浩己氏
相変わらず態度がでかいようで、
写真はふんぞり返っているように見えます。
三井不動産から頼まれているのでしょうか。
ゾーエ銀座からアソと夜上海の2店をピックアップしているのが
目立ちます。
しかし、夜上海はあの増やしすぎたイゾラチェーン、
料理の割には客が入らないサドレル&レスタジ、
同じく苦しいサン パウ、
何を考えて出してきたのか
スタッフが六覺燈の客入りをうらやましがっていた
鉄板焼きの「かいか」などを経営しているあの「グラナダ」です。
最近は居酒屋も出しているようで、
ジャンルがバラバラで出店が多すぎで
コンセプトがどうなってしまったのか。
晩年のソーホーズにならなければいいのですけど。

梅谷昇氏
いつから顔を隠すようになったんでしょうか。
今更遅いよ、梅谷さん。
しかし、直城といい、ウメモトといい、
犬養さんや大谷さんとかなりダブっています。

犬養裕美子さん
浅妻さんに対抗してか、上智卒業を全面に出してきました。
御大はわずか5店、しかも全部中華でした。
今年は中華を売り出そうとしている意図が丸見えです。
おそらく、都心でも
どんどん若い料理人の中華がオープンしてくると思います。
しかし、本当に「直城」の四川料理を読者に薦められるのか。
彼女の良心を私は問いたい。

浅妻千映子さん
ご存知、聖心大学卒業のお嬢様。
相変わらずプロファイルに載せているところを見ると、
この学歴は、犬養さんを除いた、
他のフード・ライターたちと差別化できるブランドなのでしょうか。
しかし、
住所や電話番号を公開していない鮨屋をセレクトする
意味がわかりません。
店側が公開を渋るなら、紹介する必要なし。
こんな秘密の店知っている、といった自慢話に見えてしまいます。

彼らはお互いに情報交換をかなりしているようです。
特に流行らしたいのが見え見えの中華が
かなりダブっていることからもわかります。
「ロンフウフォン」の2号店、「ウメモト」、「直城」と
私の周りでもかなり評判は悪い店をなぜかピックアップ。
マッチポンプみたいなもんです。
一昔まえのイタリアン、ここ数年の鮨に続いて
今度は中華を全面に売り出していく
彼らの底の浅い戦術がよめてきます。

しかし、中には5店しか挙げていない
小山さんや犬養さんもいますが、
私には無理して10店取り上げたとしか思えない
疑問の店も数多くあると感じました。
知り合いの業界人やライターに文句を言ったところ、
そんなら友里のお勧め10店を聞いてみたいと
切り返されてしまいました。
今年になって、新店や移転の店にもいくつか行きましたが、
私には10店もお勧めが浮かんできません。
無理をして薦めるのは私のポリシーに反します。
だいたい、オープン10店を書いてくれと
出版社から依頼があったとしても、
「お勧め店」だと思い込むのは発想が貧困。
私なら、「お勧めしない店」」を含めて10店を取り上げます。
ま、こんな掟破りの友里なので、
執筆依頼をする出版社はなくなるのでしょうけど。

明日は、友里の今年前半オープンの10店を挙げさせていただきます。


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2005年7月19日(火)

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